アサヒ飲料、経営課題を解決する“運ばない物流”
岸上克彦社長インタビュー
アサヒグループホールディングスはアサヒビール名古屋工場(名古屋市守山区)にペットボトル容器商品の製造ラインと物流倉庫を新設し、2021年4月に稼働を予定することを正式に公表した。アサヒ飲料の生産・物流で手薄だった中部エリアに拠点を新設し体制の偏りを是正し、最適化を図る。同社は主力の群馬工場(群馬県館林市)で生産増強を実施したばかり。相次ぐ設備投資について、アサヒ飲料の岸上克彦社長に狙いを聞いた。
―アサヒビールの名古屋工場に総額120億円の資金を投じて、年産900万ケースの製造ラインなどのアサヒ飲料の拠点新設を決めました。
「東日本向けで主力の群馬工場があり、西日本では明石工場(兵庫県明石市)を中心に展開。供給能力は物流を含めて各エリアごとに環境を高めることが必要だ。そういう意味では中部エリア向けは群馬工場から供給したりと弱い面があった。適正化する狙いがある」
―19年に群馬工場にペットボトル商品の製造ラインを追加したばかりです。生産能力増強はどこまで続くのですか。
「これまでにもミネラルウオーター中心の富士山工場(静岡県富士宮市)に炭酸水の製造設備を17年に加えたり、同様に六甲工場(神戸市西区)に炭酸水の製造設備を18年に稼働させたりと増強を進めてきた。ただ、飲料メーカーは100%自社生産で完結することは難しい。生産委託会社(パッカー)の協力を得ながら体制を構築している。群馬や名古屋の設備投資を加えたとしても、現状約7割の自社比率が最大でも8割まで。能力があっても、販売量が伴わないと比率は高まらない」
―名古屋ではビール類を含め年3000万ケースを出荷する物流倉庫を整備します。今後、物流の効率化も欠かせません。
「生産増強と合わせて物流網の拡充が必要だ。物流コストなどの増加に対応するため、できるだけ“運ばない物流”を進めたい。このため消費地を踏まえた拠点の再整備を始めている」
【記者の目/拠点平準化でコスト低減】
飲料業界では原材料・物流コストの増加が続いており、収益の圧迫が大きな経営課題となっている。アサヒ飲料は生産物流体制が群馬工場など関東エリアに偏っていたため、名古屋に拠点を設け、平準化を図り、コスト低減につなげる狙いもある。岸上社長は「先行きシステムとしてコスト改善に効いてくるだろう」と期待する。(取材・井上雅太郎)
―アサヒビールの名古屋工場に総額120億円の資金を投じて、年産900万ケースの製造ラインなどのアサヒ飲料の拠点新設を決めました。
「東日本向けで主力の群馬工場があり、西日本では明石工場(兵庫県明石市)を中心に展開。供給能力は物流を含めて各エリアごとに環境を高めることが必要だ。そういう意味では中部エリア向けは群馬工場から供給したりと弱い面があった。適正化する狙いがある」
―19年に群馬工場にペットボトル商品の製造ラインを追加したばかりです。生産能力増強はどこまで続くのですか。
「これまでにもミネラルウオーター中心の富士山工場(静岡県富士宮市)に炭酸水の製造設備を17年に加えたり、同様に六甲工場(神戸市西区)に炭酸水の製造設備を18年に稼働させたりと増強を進めてきた。ただ、飲料メーカーは100%自社生産で完結することは難しい。生産委託会社(パッカー)の協力を得ながら体制を構築している。群馬や名古屋の設備投資を加えたとしても、現状約7割の自社比率が最大でも8割まで。能力があっても、販売量が伴わないと比率は高まらない」
―名古屋ではビール類を含め年3000万ケースを出荷する物流倉庫を整備します。今後、物流の効率化も欠かせません。
「生産増強と合わせて物流網の拡充が必要だ。物流コストなどの増加に対応するため、できるだけ“運ばない物流”を進めたい。このため消費地を踏まえた拠点の再整備を始めている」
飲料業界では原材料・物流コストの増加が続いており、収益の圧迫が大きな経営課題となっている。アサヒ飲料は生産物流体制が群馬工場など関東エリアに偏っていたため、名古屋に拠点を設け、平準化を図り、コスト低減につなげる狙いもある。岸上社長は「先行きシステムとしてコスト改善に効いてくるだろう」と期待する。(取材・井上雅太郎)
日刊工業新聞2019年10月31日