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モーターショーに「子供が働く街」が出現、そのワケは?

 東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の第46回東京モーターショー。「OPEN FUTURE」をテーマに、クルマ・バイクだけでなく、未来の暮らし・未来の街までに領域を広げた内容が話題だ。今回新たに拡張された青海エリアに足を踏み入れると、平日にも関わらず子供を連れたファミリー層の姿があった。彼らの多くが向かった先は、子供向けの職業体験型施設「キッザニア」だ。「Out of Kidzania」という、キッザニアの施設外で仕事現場を知る取り組みを、モーターショーの場に展開している。

 キッザニアを企画・運営するKCJ GROUP広報の中島めぐみさんは「モビリティの楽しさ、ワクワク感を体験してもらいたい、というモーターショー主催者の意向に賛同しました。」と述べる。全10社が出展し、各社が考案したプログラムをキッザニアが監修した。子供たちは1時間の中で、カーデザイナーやメカニックなど、1~2種類の仕事を体験することができ、会期中の来場者は一日1200人ほどを見込んでいる。

 各社のブースは、現場環境やコスチュームなどを忠実に再現しているのが特徴だ。

 金型磨き職人の仕事が体験できるマツダのブースには、広島の工場で実際に使われているロードスターの金型や、工具、そしてごみ箱などの小道具が置かれ、現場さながらの雰囲気を味わうことができる。子供たちに指導する講師も工場で働く社員たちを起用する徹底ぶりだ。「彼らは日ごろ表に出ませんが、こうしたイベントに参加することでモチベーションの向上にも繋がると考えています」とグローバル販売&マーケティング本部・ブランド戦略部アシスタントマネジャーの塩崎さとこさん。「子供たちには鉄板を磨く作業を通して、仕事のやりがいを感じてもらいたいです」と話す。
実際の金型職人が金型を磨く作業を実演
やすりを使って鉄板(キーホルダー)を磨く
 5Gの遠隔操作による災害復旧の仕事を体験するKDDIでは、モニターを見てラジコンを真剣に操作する子供たちの姿があった。同社ソリューション事業本部・ソリューション事業企画本部の高階敬子さんは「この仕事は実際にはまだ実在しないものの、未来の職業となりえます。5Gという言葉を1日で理解するのは難しいですが、言葉だけでも覚えて帰ってもらいたいです」という。
遠隔操作でラジコンを動かし障害物をどける
災害現場を再現したジオラマで重機を操作
 ホンダのブースでは、プロのレーシングドライバーも使用するドライブシミュレーターを子供向けに改良しており、プロさながらの訓練を受けることができる。滋賀県から家族と訪れたという小学2年生の男の子は「アクセルの踏み方が難しかった」と話した。アクセルの強弱やハンドルを切るタイミングなどに子供たちは苦戦しているようだったが、本物のレーシングスーツを着て、より実践的な練習ができるとあって、ブースは賑わいをみせていた。
ドライブシミュレーターは座席が揺れて臨場感がある
 子供たち憧れの仕事や、未来の仕事に触れる数少ない機会として、東京モーターショーの新たな在り方を目の当たりにした。キッザニア担当者は「豊田章男日本自動車工業会会長をはじめ、キッザニアの取り組みに共感する声が多かったです。お話があれば2年後のモーターショーでも是非取り組みたいです」と意欲を見せた。
狐塚真子
狐塚真子 Kozuka Mako 編集局第一産業部 記者
本物のコスチュームを身にまとい、親から離れた空間で真剣に取り組む子供たちの姿に感動しました。未来の自動車業界を支える存在になりうる子供たちにとって、このようなリアルな体験は、将来的にも大きな意味があるのではないかと感じました。

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