男性向けギフトECサイトが急成長した秘訣
文=尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO) 起業資金12万円で3年後に年商12億円に
木箱や弾薬缶に詰められた男性を楽しませるギフトの数々
2007年にはサンフランシスコに移り住み、スタンフォード大学でMBAを専攻。同大学を卒業した2009年には、結婚式の来賓への贈り物、団体向けのギフトを販売するECサイトを手がけたが、上手くいかず、2011年に廃業となってしまった。
ビジネスそのものは失敗に終わってしまったが、ギフト業界に携わる中で、男性向けギフト需要の高さを学ぶことができた。それは、男性に対して「何を贈ればよいのか分からない」という女性ユーザーが多いということだ。ネクタイやギフトカードなど、無難なモノでは男性はあまり喜ばないことなどがわかった。
そこでビークマン氏は、今度は「男性向けのギフト」にサービス内容を限定、新たなECサイトの運営に着手しようとした。しかし、同氏は先に同じようなサイトを手がけて失敗したばかり。奥さんの反対にあったのだ。そのため、奥さんからは、起業に使う資金はバイクを売って手に入れた1000ドル以内に収めることを条件に許可を得たという。
予算がないなかで知恵を絞らなければならなくなった同氏。自分が昔ギフトでもらったモノで何が一番嬉しかったかを振り返ってみた。思い出したのが、少年時代にホッケーをしていた時、父親に誕生日プレゼントとして作ってもらった手作りのプラスチック製ホッケーゴールだった。
そこで、販売するギフトは手作り感のあるモノにすることを決定。男性が喜びそうな木箱に、お酒やスナックなどを詰め合わせたギフトを完成させた。そしてECサイトも開設し、アドセンス広告で販促を実施。想像以上に販売数をあげることができたという。
現在の「Man Crates」のラインナップは60種類以上。大別すると
・肉類を詰め込んだ「ジャーキー&ミート」
・ビールとおつまみ、ウイスキーとおつまみなどを取りそろえた「パーソナライズドギフト」
・スパイシーなソースやベーコンなど辛いものに目を付けた「ホット&スパイシーギフト」
・ゲームやアウトドア用品など趣味性の高い「スポーツ&ホビーギフト」
・自分の手でベーコンやビールを作る「プロジェクトキット」
などがある。それぞれ「親しい男性に贈るギフト」を目的としたものだけあって、主に壮年層の男性が満足&楽しめそうな内容の商材が中心だ。
たとえば「レトロゲーマー」(99.99ドル、日本円で約1万2000円)は、「今あるゲームシステムはクールだけど、時々メニューもムービーもないゲームを遊びたい」という人に向けたモノ。ファミコン本体とランダムで選ばれたゲームソフトが2本、その他数々のお菓子が付いてくるという。