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アマゾン、日本でも「置き配」普及なるか

10月から標準化を実験
アマゾン、日本でも「置き配」普及なるか

岐阜県多治見市にあるアマゾンジャパンの物流拠点。

 電子商取引(EC)市場が拡大する一方で社会問題化する商品の再配達。人手不足が深刻化する物流現場の負担を減らす手段として注目されているのが商品を指定された場所に置く「置き配」だ。アマゾンジャパン(東京都目黒区)は10月1日に、それを「標準」の配送方法とする実証実験を、岐阜県多治見市で始めた。期間は1カ月。

 「欧米では置き配が基本」。アマゾンジャパンのジェフ・ハヤシダ社長は強調する。置き配は受取人の在宅・不在にかかわらず「玄関」「ガスメーター」「自転車の荷物かご」など指定の場所に商品を置いて配達完了とする。同社は2月から試験導入し、6月から29都道府県の各一部エリアで、顧客が置き配を指定できるサービスを本格的に始めた。

 これまでのところ利用者は「想定を上回っている」(輸送企画統括部の緒方忍部長)という。物流会社からも再配達が減ったと評価をもらっているとし、滑り出しは好調だ。

 現状は注文時に標準の配送方法に設定しているのは、あくまで対面での受け取り。多治見市で実施する実証実験では置き配を標準化する。再配達率の変化や対面受け取りを選択した顧客データなどを集め、効果や課題を分析する。

 「置き配を全国に広げたい」と意欲を燃やすハヤシダ社長。課題は商品の盗難・破損や伝票を通じた個人情報の流出。これらを不安視する日本人は、まだ多い。アマゾンジャパンは商品の再送や返金といった保証を用意しているが、今後、宅配ボックス普及策なども検討する。
(名古屋・岩崎左恵)

日刊工業新聞2019年10月4日

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