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今後、液体ミルクを販売するメーカーは増えるのか

【連載】「液体ミルク」が変えるもの #4
今後、液体ミルクを販売するメーカーは増えるのか

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 現在日本国内では江崎グリコと明治が液体ミルクを発売している。現在粉ミルクを販売している主なメーカーに今後液体ミルクを発売する予定はあるか、社内での検討を進めているか調査した。

【調査方法】
アンケート
【回答企業】
・雪印メグミルクグループ(雪印メグミルクは「ぴゅあ」、雪印ビーンスタークは「すこやか」というブランド名で粉ミルクを発売している)
・アサヒグループ食品(和光堂「レーベンスミルク はいはい」)
・森永乳業(「はぐくみ」)

 近く液体ミルクを発売する予定があると回答したのは雪印メグミルクグループだ。「これまで試作等検討を進めてきており、製品化のめどがたったことから、関係省庁への申請に向けて進めている。今後、承認・許可を取得しだい、発売日含め詳細を検討していく」(担当者)と話す。
 そのほか、森永乳業でも発売は未定だが開発を進めている。アサヒグループ食品では検討はしているが販売計画はないという。

 液体ミルク製造に関して特に懸念されているのは安全面だ。江崎グリコや明治も言及していたが、常温で保存するための研究開発が大きなポイントとなる。森永乳業は「子ども向けの商品を常温物流させるために、安定的に安全・安心な製品や品質を確保できる製造体制の確立について検討する必要がある」と話す。雪印メグミルクグループでも衛生面は特に配慮が必要だとしている。

 さらに、各社で頻度に差はあるものの、液体ミルク発売に関する問い合わせは各社寄せられているという。消費者の関心は高まっている。明治の担当者は「粉ミルクは一度ブランドを決めるとそれを使い続ける方が多い」と話す。現在使っている粉ミルクと同ブランドでの液体ミルク発売を望む消費者も多いだろう。

連載・「液体ミルク」が変えるもの(全4回)


【01】災害時に赤ちゃんの命を守る「ミルク」備蓄していない避難所6割近くに(9月14日配信)
【02】日本初の液体ミルク、グリコが「白さ」に徹底的にこだわったワケ(9月17日配信)
【03】明治の液体ミルクはなぜ頑強なスチール缶なのか?(9月18日配信)
【04】(9月19日配信)
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
海外では粉ミルクではなく液体ミルクがスタンダードな国もあります。場合によってうまく使い分け、育児負担を軽減したり、災害時対応に活用できればと思います。なにより、赤ちゃんが身近にいない人こそ、液体ミルクの存在や役割、授乳をとりまく環境について知ってほしいと思いました。

特集・連載情報

「液体ミルク」が変えるもの
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2018年8月に厚労省の省令改正を皮切りに国内での生産販売が可能になった液体ミルク。発売から約半年が経過し、防災や育児負担軽減などの観点から当初計画の2倍以上を出荷するなどの好調が続いている。開発と今後について迫った。

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