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インドで農機の商機

東洋農機はジャガイモ収穫機で参入。大手は「対マヒンドラ」戦略に違い出る
 【札幌】東洋農機(北海道帯広市)は、ジャガイモ収穫機でインド市場の開拓に乗り出す。国際協力機構(JICA)の事業に採択されたのを受け、現地の農政局や企業などと提携し、ジャガイモ収穫機をインド国内で普及させる。インドはアフリカとのつながりが強いとみており、インドで普及させることで、アフリカなど世界的な事業展開の足がかりにする。
 
 インドは中国に次ぐ世界第2位のジャガイモ生産国。栽培から収穫に至るまでの農作業はほぼ人手に頼っている。しかし、近年は人件費が高騰している上、都市部への出稼ぎなどの影響で人手不足が問題化しているという。

 JICAの事業に採択されたことを受け、9月から2018年3月まで、ジャガイモ収穫機普及に向けた普及・実証事業に取り組む。自走式収穫機に加え、場所によっては、けん引式タイプも提供していく予定。現地の農政局などと連携し、栽培様式を整え、収穫の機械化まで効率的にジャガイモが生産できる環境づくりを目指す。

 収穫機の生産については、現地メーカーに技術供与するなどして、インドでの農作業に合わせた機械を作り上げる方針だ。担当の大橋敏伸常務執行役員は「ジャガイモ生産のインドモデルをつくることが重要。北海道・十勝地方の農機具メーカーなどとも協力し、お互いの製品を組み合わせたシステムとしても提案していきたい」としている。

 同社は1967年に設立。ジャガイモ収穫機では、国内シェア約7割を占める。15年1月期の売上高は約29億円。

三菱重工は子会社の三菱農機にマヒンドラが出資。米国市場へも進出


日刊工業新聞2015年5月22日付


 三菱重工業は21日、農業機械事業で印マヒンドラ・マヒンドラ(M&M)と提携すると発表した。M&Mが30億円を出資し、三菱重工グループの三菱農機(松江市東出雲町)の株式の33%を握る。三菱農機はM&Mに対しトラクターのOME(相手先ブランド)供給や歩行式田植機の技術供与などを行っている。国内農機市場の漸減傾向が続く中、M&Mとの提携範囲を広げ、農機需要が広がるアジアや北米、アフリカなど海外市場に活路を見いだす。

 三菱農機が10月1日付で実施する第三者割当増資をM&Mが引き受ける。現状は三菱重工子会社が100%出資しているが、増資後の議決権比率は三菱重工67%、M&M33%となる予定。

 三菱農機の売上高は2014年度で490億円(13年度598億円)。営業損益で赤字が続いていたが、2013年度から黒字に転換。ただ、利益率は低く、構造改革を進める中、昨年末からM&Mとの提携拡大検討を進めてきた。

 三菱農機は03年からM&M米国法人向けにトラクターのOEM供給を開始。三菱農機の売上高に占める海外比率は約15%で9割超を米国向けが占める。協業拡大を機に15年度は米国売上高100億円(14年度68億円)、将来130億円を目指す。

 M&Mはインドの自動車・農機大手。トラクター分野では生産台数年26万台(事業規模30億ドル)で世界首位という。インドや米国、中国に工場を持つ。今後、両社のブランドを維持しながら、販売網相互融通や共同部品調達・製品開発を進め、シナジーを創出する。

日刊工業新聞2015年08月28日 機械・ロボット・航空機面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
農機は国内市場は大きな成長が期待できないため必然と海外展開が課題になるが、経営体力の問題から業界再編もありそう。インドがジャガイモの収穫がそんなに多かったとは・・

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