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電話窓口の24時間化も…JCBがAI活用で受付時間拡大実証へ

早朝・夜間、退会や住所変更に対応
 JCBは人工知能(AI)を活用して自社のコールセンターの受付時間を拡大する検討に入った。早朝や夜間でも退会や住所変更などに対応し、利便性向上や自社業務の効率化につなげる狙い。日本IBMの対話型音声自動応答システムを用いた実証実験を8月中旬まで実施。他社のAIを活用した検証も今秋から年末にかけて行う。技術面や利用者の満足度などの面で問題がなければ、2020年前半にも消費者を対象とした実証を始める。

 年末までの実証実験はJCB社員が参加して行う。日本IBMとの取り組みでは、AIのオペレーターが退会や住所変更、利用可能額照会といった案件に対応できるかを確かめる。実験参加者へは、多様な言い回しをしてもらいたい旨の依頼もする。例えば、数字の47を「よんじゅうなな」「しじゅうしち」などと読み上げ、AIがそれぞれを認識できるか検証する。

 現在JCBの電話窓口では、利用者が電話機のボタンを操作して大まかな用件を選ぶ「IVR」という仕組みを導入している。同社はAIオペレーター活用により、IVR操作の手間や、人間のオペレーターにつながるまでに費やす時間を削減したい考え。実用化に至れば、従来は受付時間を限っていた電話窓口の24時間化も可能とみている。将来はJCB加盟店における電話対応業務へのサービス展開も模索する。

 JCBは、国内のクレジットカード会社でAIオペレーターのような仕組みを実用化した会社はまだないとしている。一般にコールセンターは離職率が高いと考えられており、カード会社は人手不足対応の意味でも業務効率化が求められる。また現在、JCB宛てには年間約400万件の電話があるという。
日刊工業新聞2019年8月9日

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