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日本のシルバーカー、世界の歩行者を助ける日が来る?

各国の反応が一変、国際規格「ISO」発行、
 高齢者の歩行を助けるシルバーカー。日本では珍しくないが、実は海外ではあまり認知されておらず、海外への売り込みは難しかった。しかし、ついに扉が開かれた。

 杖や歩行車も歩行を補助するものだが、大きい荷物を持って移動することは想定されていない。また、自立歩行が困難な人が使う歩行車は、ハンドルで体重をしっかり支える構造だが、シルバーカーは自立歩行が前提であり、支えることより取り回しのしやすさが考慮されている。

 自力で歩けるけれども、ちょっと支えが欲しい人が買い物したり長距離歩く中で途中休憩したりする場合に活躍するのがシルバーカーだ。
シルバーカー(左)と歩行車(右)の例              

 気になる安全性はと言うと、歩行車については日本工業規格(JIS)で安定性などの規定があり、国際規格(ISO)も発行されている。シルバーカーについてもJISがある一方で、ISOでは歩行車の一種とされ、シルバーカー特有の機能や用途が海外で認知されていなかった。

 歩行車の規定に従うと、シルバーカーの取り回しの良さ、利便性が実現できない。そこで、日本は歩行車とは別にシルバーカーの国際規格を作ろうと提案したが、シルバーカーも歩行車の一種と認識する各国の反応は鈍かった。「現物を見てもらうしかない」。インドネシアで開催された国際会議の場にシルバーカーを持ち込み、実演したところ、各国の反応が一変した。

 歩行車とは別のカテゴリーとして認められ議論が始まり、2019年5月、ついにシルバーカーの国際規格、ISO 19894「Walking trolleys」が発行された。

 いずれ自分もお世話になるかもしれないシルバーカー。これを機に、世界に広がることを期待したい。
                  
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
センサーとかばんばん付けてGAFAがビジネスしそう。

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