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「機械受注」落ち込みの衝撃。工作機械32カ月ぶり1000億円割れ、プレス半減

6月、設備投資への慎重姿勢が内外で広がる
「機械受注」落ち込みの衝撃。工作機械32カ月ぶり1000億円割れ、プレス半減

昨年11月に開催された「日本国際工作機械見本市」は大盛況だったが…

 日本工作機械工業会(日工会)が9日発表した6月の工作機械の受注実績(速報値)は、前年同月比38・0%減の988億2900万円で、2016年10月以来32カ月ぶりに1000億円を割り込んだ。内需は同40・3%減の376億300万円、外需は同36・4%減の612億2600万円でともに大幅減。米中貿易摩擦に端を発した設備投資への慎重姿勢が内外で広がっている。

 前月比での減少は3カ月連続。19年3月は期末効果もあり1306億6400万円で前月比19・1%増と盛り返したが、4月以降は再び1000億円台となり、大台割れが危ぶまれていた。

 内需は17年1月以来29カ月ぶりに400億円を割った。ものづくり補助金の審査が6月にあり、7月以降に向けて発注を手控える動きが影響した。外需は16年12月以来31カ月ぶりの650億円割れ。投資への慎重姿勢が中国以外にも広がった。

 今後の見通しは不透明。米中摩擦の行方は予断を許さないが、内需では補助金関連による受注増に期待。人手不足や次世代自動車、第5世代通信(5G)関連などで強気の設備投資を計画する大手企業もあり、受注競争は激しさを増しそうだ。
                    

 一方、日本鍛圧機械工業会(日鍛工)が8日発表した6月の鍛圧機械受注実績は、前年同月比23・7%減の252億9700万円で4カ月連続で減少した。プレス系機械の輸出が同56・7%減、プレス系と板金系機械の輸出合計も同46・0%減とほぼ半減した。日鍛工は「国内水準は比較的高いが、輸出は世界経済停滞の影響が出始めている」と指摘する。

 19年は前年を上回ったのが2月のみで、米中貿易摩擦を契機とした設備投資の手控えが鮮明だ。

 6月のプレス系は同39・2%減の100億1900万円で4カ月連続で減少し、かろうじて100億円台を維持した。輸出が大幅減だった一方、国内は同25・8%減と5月の同43・3%減からは持ち直した。板金系は同12・3%減の80億8100万円で3カ月連続で減少した。輸出は2カ月ぶり減の同23・2%減、国内は3カ月連続減ながら同6・1%減にとどまった。

 機械合計は同29・6%減の180億9900万円、うち国内は同18・2%減だった。輸出の仕向け地別は、北米が同38・1%減、中国が同48・0%減、インドが同84・2%減と全世界的に停滞した。

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日刊工業新聞2019年7月9日/10日

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