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台湾・香港・マカオのランキング1位のアプリ、狙いは「バーコード」

スキャンするだけで化粧品・薬の成分表示を多言語表示
 Payke(ペイク)は、商品のバーコードをスキャンすることで商品の詳細情報を利用者の母国語で表示するスマートフォン向けアプリケーション(応用ソフト)を手がける。英語や中国語など7言語に対応し、台湾や香港からの訪日客を中心に約390万ダウンロードを記録。化粧品や医薬品、食品など約1200社の40万商品を登録している。

 「ペイクで商品を1回でもスキャンした買い物客は、スキャンしなかった客と比べ決済額・購入個数ともに約35%上昇した」。創業者の古田奎輔最高経営責任者(CEO)はペイクの利点をこう説明する。

 ペイクをダウンロードしたスマホで買いたい化粧品のバーコードをスキャンすれば、原材料や成分、アレルギーといった商品情報を利用者の国・地域の言語で確認できる。この便利さが受け、米アップルの「appストア」の台湾と香港、マカオのダウンロードランキングで1位を記録した。ペイク用タブレット端末を店頭に設置している店舗もあり、1日当たりの売上高が25%増えた事例もあった。

 ペイク導入の利点は売り上げ増だけではない。商品をスキャンした利用者のデータを国籍、年齢、性別ごとに分析することで、店舗内のどの商品に興味を持っているのかを可視化できる。どの国で自社製品が興味を持たれているのかも把握できるため、古田CEOは「香港で20代に興味を持たれていると思っていた商品が、40代に一番興味が持たれていることが分かり、メーカーが香港でのプロモーションを最適化できた」と話す。

 現在は韓国やタイ、中国、ベトナムでも着実に利用者数を増やしている。今後は海外を旅する日本人向けに日本語で海外製品を説明する機能も搭載し「(商品説明で)国境をなくすサービスに育てる」(古田CEO)意向だ。
古田奎輔最高経営責任者(CEO)

【企業メモ】▽住所=沖縄県北谷町美浜1の2の15、098・943・7308▽資本金=1億円▽売上高=非公表▽従業員=40人▽設立=14年(平26)11月


挑戦する地方ベンチャー No.9 Payke


 2020年に東京五輪を控え、訪日外国人やインバウンド対策に各社追われている。そんな中、小売店での外国人接客を強力にサポートするシステムを開発しているのがPaykeだ。古田奎輔社長は沖縄で越境ECサイトを運営していた経験から、地元企業のインバウンド対応への遅れを痛感。商品についているバーコードをスマートフォンで読み取るだけで、多言語に翻訳された商品情報が表示されるというシステムの着想に至った。

【体温計と避妊検査薬を間違える!?】
日刊工業新聞2019年6月12日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
数年前に取材した同社。アジアと日本のハブ的立ち位置にある沖縄に本社を置いているところもポイントです。

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