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夏のゴルフにご用心!“もしも”のために

専門家がアドバイス。心臓発作や落雷への適切な対応

落雷の知識と心肺蘇生法は夏を満喫する大人の心得


 ゲリラ豪雨や竜巻など最近の異常気象には驚かされます。多少の雨など意に介さないゴルフ好きでも雷だけは侮ってはなりません。落雷の人体直撃では80%が即死です。雷1回の放電エネルギーは一般家庭電力2カ月分で、これが300オームの良導体である人体を通るのですからたまりません。

 脳神経障害も起こり得ますが、実は即死の主な原因は過大な電流による心停止です。やけどは意外に軽症です。直撃後に心肺蘇生法を直ちに行い、命を取り留めた例が報告されています。心臓さえ動きだせば即死は免れる可能性が高い。ですからゴルフの同じ組の仲間には、雷に打たれたら直ちに心臓マッサージをするようお互いにしめし合わせておきましょう。

 とはいえ、とっさに心臓マッサージなどの心肺蘇生法が行えるでしょうか?毎年2月に行われる東京マラソンなどで心肺蘇生法が報道され、耳になじむようになってきました。自動体外式除細動器(AED)を背負って自転車で駆け付ける救急隊は200人体制で大会当日に対応します。これまで7人以上の命を救ったそうです。

 数年前には肥満のタレントがゴール15キロメートル手前で倒れて心停止しましたが、心肺蘇生を受けて一命を取り留めたこともありました。

 アクシデントに出あったら、まず肩を揺するなどで反応を確認し、救急通報とAEDの手配をします。心臓マッサージを行い、AEDが到着したら機器の音声に従って電気ショック(除細動)を行います。

 最近では市民による救急隊到着前のバイスタンダー心肺蘇生法が広がり成果を上げています。落雷に限らず、もしもに備えて事前に訓練をすべきです。医師会や消防庁で講習を行っていますし、職場で講習を開催するのも効果的です。

 身に着けている金属の有無はあまり関係なし

 もちろん順序としては避難が第一。雷雲は10分で急成長し最長20キロメートル、時速40キロメートルなどと長大で素早く、避難には一瞬の判断が大事です。ゴム製の雨がっぱや靴は無効で、身に着けている金属の有無はあまり関係ありません。

 避雷東屋(あずまや)や車の中は安全です。雷雲のもと木の下の雨宿りは生命の危機です。高さ20メートルの木なら仰角45度で見上げる地点(半径20メートル)以内で幹、枝、葉から2メートル離れれば保護範囲になりほぼ安全ですが、側撃などの可能性もあるそうです。

 最も大切なのは、広く開けた場所で雷雲と鉢合わせないように、気象情報を早めに手に入れて、危機回避することです。落雷の知識と心肺蘇生法は、ゴルファーのみならず、夏を満喫する大人の隠れた心得と言えましょう。
(社会医療法人社団正志会 花と森の東京病院院長・小平祐造氏)
 
 ※日刊工業新聞で「健康のはなし」を連載中
2015年07月10日 /17日ウイークエンドの記事を一部修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
いずれIoTクラブとかパターなどが出てくるのかな。

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