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中小企業経営にとって人口減少は“チャンス”な理由

全国中小企業振興機関協会が調査
中小企業経営にとって人口減少は“チャンス”な理由

新潮流を事業資源に転嫁するための仕組み作りが求められている(イメージ)

 全国中小企業振興機関協会は「人口減少化における中小企業のあり方に関する調査」結果をまとめた。人口減少化の中小企業経営の未来像は悲観的に捉えられがちだが、新たなプレーヤーの出現、リワイヤリング(配線の組み換え)の拡充などでビジネスチャンスは拡大しており、これらを取り込んで今後の事業資源へと転嫁するための仕組みづくりが求められているとした。

 人口減少・少子高齢化、持続可能な経済社会への要請、技術革新の加速―の三つの大きな潮流の相互作用の中で、今まさにその潮流に対応できず悪循環に陥るか、好循環に転じるかの転換点にあるのではないかと判断。2018年度下請中小企業・小規模事業者等活性化調査研究事業として取りあげた。

 人口減少・少子高齢化に関しては需要・供給両面で変化が生じ諸課題が顕在化している。一方でソーシャルベンチャーやローカルベンチャーなどの出現により課題解決のための多様性は増し、さらにはM&A(合併・買収)による地域ホールディングス化、第二創業による事業者・経営者の入れ替えの萌芽(ほうが)もある。

 持続可能な経済社会への要請については、地域を支えてきた中堅・中小企業の活力が失われ、社会・地域課題など公益と私益を両立できる担い手が減少している。

 その中で課題解決に向け民間からの投資を呼び込む「社会的インパクト評価・投資」への関心の高まりや、Bコーポレーションと称される私益と公益の境界領域が曖昧になった中小企業も登場している。

 技術革新の加速に関しては、事業環境変化によって生じた課題の解決に向けてクラウドプラットフォーム、シェアリングサービスなどを手がける多様なプラットフォーム事業者が登場し、中小企業のビジネスの生産性を高めるとともに地域のサプライチェーンなどの組み替えもしている。

 こうしたことから中小企業は、地域・社会課題解決をビジョンに掲げたビジネスも広がっていることなどにも鑑み、持続可能な経済社会への要請をコストではなくビジネスチャンスとして捉え直すことが重要であり、また新たなプラットフォームの出現によるチャンスの拡大を生かすべき時だとしている。

 加えて、中小企業こそ新たに生まれつつある多様なワークスタイルを活用し、生産性の向上を図るべきだと指摘している。
日刊工業新聞2019年5月30日

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