【落合陽一】ピクシーダストテクノロジーズが重視する戦略の中身
事業を大きく成長させるフェーズに
ピクシーダストテクノロジーズは人とコンピューターの新しい関係(インターフェース)を創る。メディアアーティストの落合陽一筑波大学准教授らが立ち上げた。大学発ベンチャーは特定のコア技術を武器にするが、同社はいくつもの要素技術を抱えて現場に応じて組み上げて提案する。技術開発から空間デザイン、システム構築まで手がける。技術的な基盤が整い、事業を大きく成長させるフェーズを迎えている。
「設立3年目で技術ポートフォリオがそろってきた。息の長い開発プロジェクトを走らせ、40―50の技術をストックできた」と落合陽一最高経営責任者(CEO)は説明する。インターフェースは特定の要素技術に執着しない分野だ。センサーなどでユーザーや空間を測り、その情報を処理し、ディスプレーやロボット技術などでユーザーにフィードバックする。人とコンピューター、空間を含めたシステム全体を創る。
幅広い技術を抱え、現場ごとに構成を変えて、ユーザーに合わせて開発する。企業としては技術の開発領域を絞り込めず、製品は顧客ごとの一品ものになりがちだ。規模の小さいベンチャーにとってはリスクもある。従来はデザイナーやシステムインテグレーターが生業にしてきた。
同社の強みは大学研究室とのつながりと知財契約戦略にある。筑波大の落合研究室では約40人が研究に打ち込む。落合CEOは「大学の研究を通して幅広い技術の肌感覚をつかみ、日々更新できる」という。研究室の成果は同社で知財化する。大学へは新株予約権を発行する。基礎から実装まで担う事業者は少なく、小回りのきく競合はごくわずかだ。
大企業とは事業戦略を練った上で共同開発契約を結ぶ。「自分でも驚くほどいい条件で契約を結べている」(落合CEO)。創業メンバーを除いた最初の社員は弁理士だった。
同社が大学と民間をつなぐことで研究成果の社会実装が加速される。この産学連携モデルを筑波大以外の大学にも広げる予定だ。
商工中金は総額10億円の融資、INCJ(旧産業革新機構)などは38億円の出資を決めた。現在24人の体制を拡充し、2020年には60人規模にする。関根喜之最高財務責任者(CFO)は「BツーB(企業間)向けの製品から売り上げが立ち始める」と説明する。設立2年目の18年度の売上高は2億円弱、3年目は4億円程度になる。落合CEOは「規模は倍々ペースで増えている。開発案件の製品化が進み、これから数字に表れていく」と話す。
筑波大学の准教授として教壇に立ちながら政府の政策検討会メンバーやピクシーダストテクノロジーズのCEO、テレビのコメンテーターなどを務める。研究者や事業家、政策顧問の顔を持つ。アーティストとしての創作活動も週末に続けている。落合陽一氏に事業戦略や科技政策について聞いた。
―大学発ベンチャーは研究室から生み出された技術を中核に事業を展開します。インターフェースは、すり合わせ技術で一つの技術に絞れません。テック系ベンチャーにとって開発負担が大きくありませんか。
「我々は特定の技術に縛られない。センサーなどでユーザーや空間を把握し、その情報をソフトウエアで処理して、アクチュエーターやロボットなどでユーザーにフィードバックする。ヒトとロボ、空間をつなぐインターフェースを開発する。センサーはLIDARやカメラ、アクチュエーターは液晶ディスプレーや照明、超音波など何でもいい。ロボットがセンサーを積んで動き回り、ユーザーを計測してもいい。一方でシステムを使う人の手の大きさや目の能力など、ヒトの機能はそんなに変わらない。ヒトを基準に新しい要素をはめ込んでいく。要素技術のポートフォリオがそろってきた。40-50のプロジェクトを走らせてきた。現場に合わせて技術を組み上げて提供する」
―幅広い技術の開発をどう支えますか。
「基礎的な研究は大学の役割が大きい。私の筑波大の研究室は約40人。JSTの研究推進事業『ERATO』の研究員は10-15人。だいたい三つ分の研究テーマが走っている。大学は自由な研究ができる。インターフェースは論文が通りにくい分野だが、国際的に認められる成果を出せている。ピクシーダストテクノロジーズとしては、肌感覚がわかる幅広い技術を抱えるということは強みになる。筑波大の研究室の成果だけにこだわらず、ほかの大学ともアライアンスを結んでいく」
―ピクシーダストテクノロジーズはニーズベースの技術開発を担います。
「課題は現場によってさまざまだ。現場を知る人たちと課題に対してソリューションを作る。例えば、公共スペースで一人一人に翻訳し分けた音声案内をするなど、空間を把握して特定の人に特定の情報を届ける。ビーム状に音声を飛ばす指向性スピーカーはあるが、我々は一辺5センチメートルの空間にスポット的に音声を流せる。光や音、触覚の波動を制御する技術はコア技術の一つだ。基礎研究から製品開発、現場のコンサルティング、社会実装まで担えるベンチャーはなく、競合は少ない」
―大学側のシーズは幅広く、現場ニーズも多様で個別性が強いです。多様なシーズとニーズを結ぶ場合、特許などの知財管理が難しくありませんか。
「知財戦略には力を入れている。創業メンバーを除いて、最初に入社した社員が弁理士だった。大企業などと共同開発では、事業化した際の特許のロイヤルティーなどを決めてから開発することが大切だ。双方にウィンウィンのモデルがないとベンチャーが研究開発する意味がなくなる。ベンチャーに対しても誠実な企業は少なくなく、結んだ契約条件をみてその条件の良さに驚くこともある」
―技術を特許だけで守れますか。
「ソフトウエアをハードウエアに焼き付けて提供することが大切だ。ソフトだけ、ハードだけをまねしようとしても機能しない。また我々は一つの技術に頼っている訳ではない。ポートフォリオが多く、知財や契約などをいくつも試せる。失敗すれば、そこから学んで新しいものを出していく。それでもマネは出てくるだろう。研究開発から普及までの速度を加速させて対応する。売上高が大きくなるのはBツーCの製品が出てからだ。ピクシーダストテクノロジーズでアカデミアとインダストリーをつなぐ。簡単ではないことは承知している。こうした挑戦は『特異点』でやらないと成功しない。産学連携や社会実装のモデルの一つになれればと進めている」
―商工中金から融資で10億円、INCJなどから投資で38億円を調達しました。
「研究開発体制を増強する。現在24人を2020年で61人に拡大する。この前段階の資金調達(シリーズA)で、大学の基礎研究から、技術開発、そして現場に届けるまでのPOC(概念実証)ができた。48億円で開発体制を強化し、技術の質や開発速度を高める。新しいインターフェースを試す開発環境も整備する。一方で、この資金では開発品を量産するほどの投資はできない。生産力にたけた連携先と組んで製品を出していく」
―基礎研究は評価が難しいです。大学の貢献は正しく査定されますか。
「第三者割当増資を繰り返すと、株式の保有率が希釈されていく問題がある。今回、まだ売り上げの小さなスタートアップに商工中金が融資で10億円を出すことはインパクトがある。こうした仕組みは広げていくべきだ。また筑波大との契約では共同研究の期間を区切り、期間ごとの成果に対して新株予約権を発行している。契約更新では、発行数などを再び交渉する。大学から出資を受けた訳でなく、放っておいたら大学の貢献が希釈されるわけではない」
―一品ものになりがちなインターフェースであってもアート・芸術作品として売れば、大きな付加価値が狙えます。メディアアーティトとして名が売れているため、いいポジションにいると思います。
「創作活動は日曜日に続けているが、ピクシーダストテクノロジーズではテクノロジーに集中している。アートはスケールするモデルを作るのが難しい。一つ目のプロトタイプにアートを入れるといいものになる。ただ創作に自分がずっと参加している状態が続くため費用対効果がよくない。作品のコンストラクト(構成)を私が作り、内側をピクシーダストテクノロジーズで開発したこともあるが、いまは研究開発は事業領域に特化させている。クリエーティブで稼げる産業規模は限られる」
―内閣府の大型予算「ムーンショット型研究開発制度」のビジョナリー会議や厚生労働省未来イノベーションワーキンググループの構成員を務めます。科学技術政策に期待することは。
「ムーンショットでは、法律や制度を変えるような技術開発に挑戦すべきと訴えている。政治家の小泉進次郎氏とポリティクス(政治)とテクノロジー(技術)を掛け合わせた『ポリテック』について本を出していて、これをやらないと社会が変わらない。法制度の中にテクノロジーを組み込み、制度を修正していく。例えば現在の電波法はナンセンスだ。現在は周波数帯を割り当てているが、その都度、空いている周波数を使うなどアクティブチューニングをするとより効率的に電波を利用できる。制度変更には100年かかるかもしれないが、実現してしまえば『なぜやっていなかったのか』と合理性を問われる。制度を一つ一つ変えるのは大変かもしれないが、22世紀に実現していると考えられるなら、いま始めるべきだ」
―著作権法は例外ばかりで論理破綻しているといわれます。
「すべて文章で書こうとするから破綻する。数式を入れたいが、現在は不等号くらいしか入らない。ポリテックを前提に技術開発を進めると、わかる課題がいろいろ出てくる。米国のアポロ計画が月に人を送ることを決めると、トイレや食料など生活周りの課題が出てきて技術開発が進んだ。同じことがポリテックにもいえ、テクノロジーで社会を変えていくために、どんな課題があるか、取り組むことで明らかになる。内閣府が司令塔となり省庁横断的に推進すべきプロジェクトになる」
―上から号令をかけるよりも規制省庁と成功事例を作っていく段階だと思います。プログラマブルな法令で、どんな穴や抜けが起こりえるか見通せないと怖いと思います。
「厚労省の仕事を引き受けたのはそのためもある。ロボットが人と一緒に働く際の安全管理では、結局は鉄柵に囲われて隔離されている。これでは研究開発が進めにくい。個人的には国土交通省と組んでみたい。道交法と自動運転など、転換点にあり、チャンスも眠っている」
(文=小寺貴之)
好条件で契約
「設立3年目で技術ポートフォリオがそろってきた。息の長い開発プロジェクトを走らせ、40―50の技術をストックできた」と落合陽一最高経営責任者(CEO)は説明する。インターフェースは特定の要素技術に執着しない分野だ。センサーなどでユーザーや空間を測り、その情報を処理し、ディスプレーやロボット技術などでユーザーにフィードバックする。人とコンピューター、空間を含めたシステム全体を創る。
幅広い技術を抱え、現場ごとに構成を変えて、ユーザーに合わせて開発する。企業としては技術の開発領域を絞り込めず、製品は顧客ごとの一品ものになりがちだ。規模の小さいベンチャーにとってはリスクもある。従来はデザイナーやシステムインテグレーターが生業にしてきた。
同社の強みは大学研究室とのつながりと知財契約戦略にある。筑波大の落合研究室では約40人が研究に打ち込む。落合CEOは「大学の研究を通して幅広い技術の肌感覚をつかみ、日々更新できる」という。研究室の成果は同社で知財化する。大学へは新株予約権を発行する。基礎から実装まで担う事業者は少なく、小回りのきく競合はごくわずかだ。
大企業とは事業戦略を練った上で共同開発契約を結ぶ。「自分でも驚くほどいい条件で契約を結べている」(落合CEO)。創業メンバーを除いた最初の社員は弁理士だった。
規模拡大
同社が大学と民間をつなぐことで研究成果の社会実装が加速される。この産学連携モデルを筑波大以外の大学にも広げる予定だ。
商工中金は総額10億円の融資、INCJ(旧産業革新機構)などは38億円の出資を決めた。現在24人の体制を拡充し、2020年には60人規模にする。関根喜之最高財務責任者(CFO)は「BツーB(企業間)向けの製品から売り上げが立ち始める」と説明する。設立2年目の18年度の売上高は2億円弱、3年目は4億円程度になる。落合CEOは「規模は倍々ペースで増えている。開発案件の製品化が進み、これから数字に表れていく」と話す。
落合陽一氏に聞く
筑波大学の准教授として教壇に立ちながら政府の政策検討会メンバーやピクシーダストテクノロジーズのCEO、テレビのコメンテーターなどを務める。研究者や事業家、政策顧問の顔を持つ。アーティストとしての創作活動も週末に続けている。落合陽一氏に事業戦略や科技政策について聞いた。
―大学発ベンチャーは研究室から生み出された技術を中核に事業を展開します。インターフェースは、すり合わせ技術で一つの技術に絞れません。テック系ベンチャーにとって開発負担が大きくありませんか。
「我々は特定の技術に縛られない。センサーなどでユーザーや空間を把握し、その情報をソフトウエアで処理して、アクチュエーターやロボットなどでユーザーにフィードバックする。ヒトとロボ、空間をつなぐインターフェースを開発する。センサーはLIDARやカメラ、アクチュエーターは液晶ディスプレーや照明、超音波など何でもいい。ロボットがセンサーを積んで動き回り、ユーザーを計測してもいい。一方でシステムを使う人の手の大きさや目の能力など、ヒトの機能はそんなに変わらない。ヒトを基準に新しい要素をはめ込んでいく。要素技術のポートフォリオがそろってきた。40-50のプロジェクトを走らせてきた。現場に合わせて技術を組み上げて提供する」
―幅広い技術の開発をどう支えますか。
「基礎的な研究は大学の役割が大きい。私の筑波大の研究室は約40人。JSTの研究推進事業『ERATO』の研究員は10-15人。だいたい三つ分の研究テーマが走っている。大学は自由な研究ができる。インターフェースは論文が通りにくい分野だが、国際的に認められる成果を出せている。ピクシーダストテクノロジーズとしては、肌感覚がわかる幅広い技術を抱えるということは強みになる。筑波大の研究室の成果だけにこだわらず、ほかの大学ともアライアンスを結んでいく」
―ピクシーダストテクノロジーズはニーズベースの技術開発を担います。
「課題は現場によってさまざまだ。現場を知る人たちと課題に対してソリューションを作る。例えば、公共スペースで一人一人に翻訳し分けた音声案内をするなど、空間を把握して特定の人に特定の情報を届ける。ビーム状に音声を飛ばす指向性スピーカーはあるが、我々は一辺5センチメートルの空間にスポット的に音声を流せる。光や音、触覚の波動を制御する技術はコア技術の一つだ。基礎研究から製品開発、現場のコンサルティング、社会実装まで担えるベンチャーはなく、競合は少ない」
―大学側のシーズは幅広く、現場ニーズも多様で個別性が強いです。多様なシーズとニーズを結ぶ場合、特許などの知財管理が難しくありませんか。
「知財戦略には力を入れている。創業メンバーを除いて、最初に入社した社員が弁理士だった。大企業などと共同開発では、事業化した際の特許のロイヤルティーなどを決めてから開発することが大切だ。双方にウィンウィンのモデルがないとベンチャーが研究開発する意味がなくなる。ベンチャーに対しても誠実な企業は少なくなく、結んだ契約条件をみてその条件の良さに驚くこともある」
―技術を特許だけで守れますか。
「ソフトウエアをハードウエアに焼き付けて提供することが大切だ。ソフトだけ、ハードだけをまねしようとしても機能しない。また我々は一つの技術に頼っている訳ではない。ポートフォリオが多く、知財や契約などをいくつも試せる。失敗すれば、そこから学んで新しいものを出していく。それでもマネは出てくるだろう。研究開発から普及までの速度を加速させて対応する。売上高が大きくなるのはBツーCの製品が出てからだ。ピクシーダストテクノロジーズでアカデミアとインダストリーをつなぐ。簡単ではないことは承知している。こうした挑戦は『特異点』でやらないと成功しない。産学連携や社会実装のモデルの一つになれればと進めている」
―商工中金から融資で10億円、INCJなどから投資で38億円を調達しました。
「研究開発体制を増強する。現在24人を2020年で61人に拡大する。この前段階の資金調達(シリーズA)で、大学の基礎研究から、技術開発、そして現場に届けるまでのPOC(概念実証)ができた。48億円で開発体制を強化し、技術の質や開発速度を高める。新しいインターフェースを試す開発環境も整備する。一方で、この資金では開発品を量産するほどの投資はできない。生産力にたけた連携先と組んで製品を出していく」
―基礎研究は評価が難しいです。大学の貢献は正しく査定されますか。
「第三者割当増資を繰り返すと、株式の保有率が希釈されていく問題がある。今回、まだ売り上げの小さなスタートアップに商工中金が融資で10億円を出すことはインパクトがある。こうした仕組みは広げていくべきだ。また筑波大との契約では共同研究の期間を区切り、期間ごとの成果に対して新株予約権を発行している。契約更新では、発行数などを再び交渉する。大学から出資を受けた訳でなく、放っておいたら大学の貢献が希釈されるわけではない」
―一品ものになりがちなインターフェースであってもアート・芸術作品として売れば、大きな付加価値が狙えます。メディアアーティトとして名が売れているため、いいポジションにいると思います。
「創作活動は日曜日に続けているが、ピクシーダストテクノロジーズではテクノロジーに集中している。アートはスケールするモデルを作るのが難しい。一つ目のプロトタイプにアートを入れるといいものになる。ただ創作に自分がずっと参加している状態が続くため費用対効果がよくない。作品のコンストラクト(構成)を私が作り、内側をピクシーダストテクノロジーズで開発したこともあるが、いまは研究開発は事業領域に特化させている。クリエーティブで稼げる産業規模は限られる」
―内閣府の大型予算「ムーンショット型研究開発制度」のビジョナリー会議や厚生労働省未来イノベーションワーキンググループの構成員を務めます。科学技術政策に期待することは。
「ムーンショットでは、法律や制度を変えるような技術開発に挑戦すべきと訴えている。政治家の小泉進次郎氏とポリティクス(政治)とテクノロジー(技術)を掛け合わせた『ポリテック』について本を出していて、これをやらないと社会が変わらない。法制度の中にテクノロジーを組み込み、制度を修正していく。例えば現在の電波法はナンセンスだ。現在は周波数帯を割り当てているが、その都度、空いている周波数を使うなどアクティブチューニングをするとより効率的に電波を利用できる。制度変更には100年かかるかもしれないが、実現してしまえば『なぜやっていなかったのか』と合理性を問われる。制度を一つ一つ変えるのは大変かもしれないが、22世紀に実現していると考えられるなら、いま始めるべきだ」
―著作権法は例外ばかりで論理破綻しているといわれます。
「すべて文章で書こうとするから破綻する。数式を入れたいが、現在は不等号くらいしか入らない。ポリテックを前提に技術開発を進めると、わかる課題がいろいろ出てくる。米国のアポロ計画が月に人を送ることを決めると、トイレや食料など生活周りの課題が出てきて技術開発が進んだ。同じことがポリテックにもいえ、テクノロジーで社会を変えていくために、どんな課題があるか、取り組むことで明らかになる。内閣府が司令塔となり省庁横断的に推進すべきプロジェクトになる」
―上から号令をかけるよりも規制省庁と成功事例を作っていく段階だと思います。プログラマブルな法令で、どんな穴や抜けが起こりえるか見通せないと怖いと思います。
「厚労省の仕事を引き受けたのはそのためもある。ロボットが人と一緒に働く際の安全管理では、結局は鉄柵に囲われて隔離されている。これでは研究開発が進めにくい。個人的には国土交通省と組んでみたい。道交法と自動運転など、転換点にあり、チャンスも眠っている」
(文=小寺貴之)
日刊工業新聞2019年5月30日記事に加筆