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元素で見る「地球化学図」、日本列島を大分析!

 周期表でお馴染みの「元素」で日本列島の地質を見た時、どのような元素で成り立っているのか。それを明らかにしているのが「地球化学図」だ。

 地球化学図は、自然にある元素の濃度を示す地図。人為的な元素の変動を示す基準である。このためトンネルの建設工事の残土処理などで生じる環境へのリスク評価や、未利用資源の発掘に有効だ。

 また、元素ごとにどれくらいの濃度で分布しているかが一目でわかるため、日本列島を理解する地図としては、多種にわたる地層・岩石の種類を示した地質図よりわかりやすい。

 地球化学図の作成にあたっては、日本列島をカバーするために全国約3000地点から堆積物を採取した。その分析・図示は地道で膨大な作業で、論文を書くような通常の学術研究と違って長い年月がかかった。

 こうした地道な作業を経て、53元素について北海道及び沖縄を含めた日本列島の地球化学図を2004年に発表した。この成果が実を結び、2005年には環境賞の優良賞を受賞した。さらにその周辺の沿岸海域をカバーした地球化学図を2010年に発表した。

 2010年以降は、地域ごとでの精密地球化学図および三次元地球化学図が整備され、現在に至っており、この情報はWebにて常時発信している。
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
整備してきた地球化学図は、5月10日の地質の日を記念して5月31日まで経済産業省本館ロビーで展示しているため、是非、ご覧いただきたい。

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