ニュースイッチ

東京五輪で活躍!23区の豪雨浸水をリアルタイム予測する技術

早大などが開発、30分先の浸水状況を動画で提示
 早稲田大学、東京大学とリモート・センシング技術センター(東京都港区)の研究グループは、豪雨時に東京23区で起こる浸水をリアルタイムで予測するシステムを開発した。道路や下水道など都市インフラの情報を組み込み、精度を高めた。30分先までの浸水状況を動画で示し、事前の浸水対策につなげる。6月末をめどに試行運用を始め、2020年の東京五輪・パラリンピックまでに社会実装を目指す。

 豪雨発生時、都市には地下空間の浸水など特有の危険がある。止水板設置や道路封鎖のタイミングの判断には確度の高い浸水予測が必要となる。だが、ハザードマップ(災害予測地図)は最新の降雨状況に応じて更新できず、現状把握に適さない。既存の浸水予測は、速報性を重視してモデル化されており、概略値の予報にとどまっていた。

 新システムは、速報性と信頼性を両立するよう、早大の関根正人教授が開発した都市浸水の予測手法「S―uiPS(スイプス)」を基盤に構築した。スイプスは、道路や下水道、地下貯水施設の現状や建物の建ぺい率といった都市基盤の情報を考慮して雨水の流れを計算し、浸水発生やその深刻化の過程を高精度に予測する。

 スイプスの計算コードを高速化し、リアルタイムの浸水予測を実現した。1分ごとの観測雨量と、気象庁による降雨予報データを入力することで、30分先までの浸水状況を予測できる。

 文部科学省のデータ統合・解析システム(DIAS)上で運用する。

 予測結果は動画で一般に配信する予定で、住民の認知向上やインフラ管理者の浸水対策に生かす。
日刊工業新聞2019年5月21日(科学技術・大学)

編集部のおすすめ