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鉄道と高速道路が直結する「駅」が生み出す利便性

阪急「西山天王山駅」、地域交通の選択肢増やす
鉄道と高速道路が直結する「駅」が生み出す利便性

高速バスと連携した利用拡大を目指す。上にバス停がある

 京都府長岡京市にある阪急電鉄・西山天王山駅は、高速道路と鉄道の駅が結節する全国でも珍しい駅だ。阪急京都本線上を交差するように京都縦貫自動車道が通り、駅に併設されたエレベーターを昇ると同市が管理する高速バス停「高速長岡京」が設置されている。関東や名古屋方面行きを中心に高速バスが走り、地域住民の新たな交通体系としての利用に期待がかかる。

 同駅の特徴を、阪急電鉄の越智厚交通プロジェクト推進部副部長は「地域の人口増加に限界がある中、新しい交通の流れを生み出せる」と語る。同駅は、京都縦貫道に長岡京インターチェンジの設置が決まったのを機に、行政などを交えた公共交通活性化協議会で構想が練られた。隣駅の長岡天神駅周辺の混雑緩和も目的だった。

 2013年の駅開業当初は1日8000人の乗降者数を見込んでいたが、17年に同1万1500人を超えた。京都市内や大阪への通勤・通学や、同駅付近に立命館中学校・高等学校が移転したことで利用者数を伸ばした。

 今後は、観光客の利用も視野に入れる。京都―大阪間を結ぶ阪急京都本線は、国内外の観光客が移動する路線でもある。駅名の通り、周辺には歴史スポットの天王山などがある。途中下車してもらう魅力作りは、長岡京市との連携が必要だ。

 同市が管理する高速バス停についても、協力して認知度の向上に努める。同市の調査で、周辺住民の約6割は高速バス停を知らないという。一方で「知っていたら利用したい」との回答は7割を超える。「地域の方の選択肢を増やすこと」(越智副部長)に重点を置き、阪急電鉄が掲げる“選ばれ続ける沿線”となるよう、地域に根ざした需要の喚起を目指していく。
【概要】
阪急電鉄の西山天王山駅と京都縦貫自動車道が結節する。17年の1日の平均乗降者数は1万1508人。関東・名古屋方面行きを中心に1日65便の高速バスが走る(18年12月時点)。
西山天王山駅の上を高速道路が通る
日刊工業新聞2019年4月25日

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