躍進デパコス、“自分に合う”を徹底的に追求
化粧品メーカー、AI・カウンセリング・動画を駆使
デパートで展開する化粧品が“デパコス(デパートコスメ)”として話題を呼び、売り上げを伸ばしている。従来、敷居が高いイメージだったカウンセリング販売の化粧品が身近になりつつある。化粧品メーカー各社もカウンセリングにパーソナライズ要素を取り入れ、これまでと違ったサービスを提供する。化粧品は今、新たな時代に突入しようとしている。
862万通りのバリエーションから自分に合うアイテムを選ぶ―。ポーラは、肌を分析して1人ずつに合った化粧品を提案するブランド「APEX(アペックス)」を30年以上展開している。7月8日のリニューアル後は、表情を作る様子を撮影した動画から皮下組織を含む肌内部の状態を推定する。肌診断に人工知能(AI)を活用する新しい方法だ。
AIに肌の表面と肌内部の状態がどのように相関しているかを学習させた。表面が動く様子を撮影するだけで、内部の様子が推定できる。これまでできなかった皮下組織分析が可能になった。
診断結果は「水分量」や「皮脂量」など項目ごとに5段階のスコアで表示される。将来どうなるかまで分析した結果を表示する。
また、リニューアル後はベース部分が選べる。タッチアップテスターで好みのモノを決めると、後日そこに自身に必要な成分が配合された化粧品が届く。
アペックスブランドマネジメントチームの菅千帆子マネージャーは「従来は診断結果通りの化粧品を提供していた。選ぶ楽しさを味わってほしい」と笑顔をみせる。
化粧品のラインアップはクレンジングからファンデーションまで7アイテムを用意。提案パターンは862万通りだ。確かな診断に楽しさを加え、サービスを進化させる。
資生堂は「資生堂グローバルイノベーションセンター(GIC)」の1階にビューティーバーを設置。ビューティーカウンセラーと研究員のカウンセリングが受けられ、自分だけの化粧品を作れる。
「水分量」や「きめ」などを診断し、使う化粧品にどんな機能が必要かを決める。その上でにおいやボトルデザインを選べ、世界で一つの化粧水と乳液が作れる。
自身の化粧品は後日製造したものが送られてくるが、製造設備は真横にあるため見学が可能だ。島谷庸一副社長は「研究員にとっても一般のお客さまとふれあえる貴重な機会になる」と笑顔をみせる。新たなサービスで他社との差別化を図る。
コーセーのブランド「Awake」では、直営コンセプトショップでカウンセリングの様子を動画に撮影。顧客に日々のケアに生かせるようにしている
コーセーが展開するブランド「Awake」では直営コンセプトショップをオープンし、“パーソナルレシピ”を提案するエリアを設けた。美容スタッフのカウンセリングを受け、自身に合ったオイルを選べる。カウンセリングの様子は、動画で撮影し、自宅でのケアに生かせる。
設置されたタブレットを使って「ショット」と呼ばれるオイルを選べる。この結果を受け、美容スタッフにクレンジング、化粧水、ショットの組み合わせを相談できる。正しいクレンジング方法なども教えてもらえる。
戦略ブランド事業部販売企画二課の斉藤篤志課長は「インスタライブなどで発信してもらえれば、宣伝効果も得られる」と話す。
肌の健康を守るのに男女ともに欠かせないものとなりつつある化粧品。それなりに高価格で使い切るまでに時間がかかる性質から、なるべく自分に合ったモノを選びたいというニーズは高い。今後、パーソナライズがさらに進むとみられる。
(文=門脇花梨)
選ぶ楽しさ
862万通りのバリエーションから自分に合うアイテムを選ぶ―。ポーラは、肌を分析して1人ずつに合った化粧品を提案するブランド「APEX(アペックス)」を30年以上展開している。7月8日のリニューアル後は、表情を作る様子を撮影した動画から皮下組織を含む肌内部の状態を推定する。肌診断に人工知能(AI)を活用する新しい方法だ。
AIに肌の表面と肌内部の状態がどのように相関しているかを学習させた。表面が動く様子を撮影するだけで、内部の様子が推定できる。これまでできなかった皮下組織分析が可能になった。
診断結果は「水分量」や「皮脂量」など項目ごとに5段階のスコアで表示される。将来どうなるかまで分析した結果を表示する。
また、リニューアル後はベース部分が選べる。タッチアップテスターで好みのモノを決めると、後日そこに自身に必要な成分が配合された化粧品が届く。
アペックスブランドマネジメントチームの菅千帆子マネージャーは「従来は診断結果通りの化粧品を提供していた。選ぶ楽しさを味わってほしい」と笑顔をみせる。
化粧品のラインアップはクレンジングからファンデーションまで7アイテムを用意。提案パターンは862万通りだ。確かな診断に楽しさを加え、サービスを進化させる。
世界で1つ
資生堂は「資生堂グローバルイノベーションセンター(GIC)」の1階にビューティーバーを設置。ビューティーカウンセラーと研究員のカウンセリングが受けられ、自分だけの化粧品を作れる。
「水分量」や「きめ」などを診断し、使う化粧品にどんな機能が必要かを決める。その上でにおいやボトルデザインを選べ、世界で一つの化粧水と乳液が作れる。
自身の化粧品は後日製造したものが送られてくるが、製造設備は真横にあるため見学が可能だ。島谷庸一副社長は「研究員にとっても一般のお客さまとふれあえる貴重な機会になる」と笑顔をみせる。新たなサービスで他社との差別化を図る。
コーセーのブランド「Awake」では、直営コンセプトショップでカウンセリングの様子を動画に撮影。顧客に日々のケアに生かせるようにしている
コーセーが展開するブランド「Awake」では直営コンセプトショップをオープンし、“パーソナルレシピ”を提案するエリアを設けた。美容スタッフのカウンセリングを受け、自身に合ったオイルを選べる。カウンセリングの様子は、動画で撮影し、自宅でのケアに生かせる。
設置されたタブレットを使って「ショット」と呼ばれるオイルを選べる。この結果を受け、美容スタッフにクレンジング、化粧水、ショットの組み合わせを相談できる。正しいクレンジング方法なども教えてもらえる。
戦略ブランド事業部販売企画二課の斉藤篤志課長は「インスタライブなどで発信してもらえれば、宣伝効果も得られる」と話す。
肌の健康を守るのに男女ともに欠かせないものとなりつつある化粧品。それなりに高価格で使い切るまでに時間がかかる性質から、なるべく自分に合ったモノを選びたいというニーズは高い。今後、パーソナライズがさらに進むとみられる。
(文=門脇花梨)