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日本電産“EVビジネス”1兆円の勝算

プラットフォーム参入で総力戦
日本電産“EVビジネス”1兆円の勝算

日本電産が開発した駆動用EVモーター「E―Axle」

 日本電産は12日、2025年をめどに電気自動車(EV)用プラットフォーム(車台)事業に参入すると発表した。中国などのEV新興メーカーを中心に売り込み、30年度には約1兆円の売上高を目指す。自動車市場では次世代技術「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」への対応が加速している。同社は重点的に強化しているEV事業の成長スピードをさらに加速させる。

 同日、滋賀技術開発センター(滋賀県愛荘町)で開いた車載新製品の報道陣向け説明会で明らかにした。同社は4月、中国でEV向け駆動用モーター量産工場の稼働を開始するなど、EV関連事業の拡大を図っている。電動化に伴う部品点数の減少から自動車産業の構造が垂直統合から水平分業に変わると判断。新しいビジネスモデルが必要としてプラットフォーム事業への参入を決めた。

 プラットフォームの主要部品の中うち、バッテリーシステムなど半数程度は同社が手がけていないことから、他社との協業なども進めていく考え。

 同社は20年度に車載事業の売上高をM&A(合併・買収)の効果も含めて1兆円を掲げている。EV向け製品のラインアップの充実も図りながら、30年度には同事業で4兆円の売り上げを目指す。

日刊工業新聞2019年4月13日



インホイールモーター開発


 日本電産は電気自動車(EV)用のインホイールモーターを開発した。ホイール内蔵型の駆動用電気モーターで、試作品は20インチのホイールに収まる大きさ。重量は32キログラム、出力100キロワットでガソリンエンジンに置き換えると排気量1800ccクラスに相当する。後輪、前輪、4輪の各駆動方式に対応可能。2023年頃の量産を目指す。

 試作品は日本電産のEV向け駆動用モーター「トラクションモーターシステム」の技術を応用した。モーターと減速機が一体の構造。遊星歯車を使うことで、小型でも大きなトルクを得られる。

 インホイールモーターは車輪ごとに独立制御でき、車の設計自由度が高まる利点がある。富士キメラ総研(東京都中央区)によると同モーター市場は30年に386億円規模への成長が予測される。国内ではNTNなどが手がけている。
日本電産が開発したインホイールモーター

日刊工業新聞2019年3月11日



中国大手の量産車に初採用


 日本電産が電気自動車(EV)向けなどに展開する、「トラクションモーターシステム」と呼ばれる駆動部品が量産車に初めて採用された。中国車大手の広州汽車集団の子会社、広汽新能源汽車の新型EV「Aion(アイオン)S」に搭載される。日本電産はEVやプラグインハイブリッド車(PHV)向けに、同システムの開発を進めてきた。EVの重点市場と位置付ける中国を中心に、世界各国で拡販を加速する。

 同システムはモーターやインバーター、ギアを一体化した。最大出力は150キロワット、最大システム出力トルクは3900ニュートンメートル。同クラスのガソリンエンジンと比べて、重量は約半分の87キログラムと軽量化した。小型化により、車を設計する自由度も高まる。

日刊工業新聞2018年12月14日


明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本電産の吉本浩之社長の見立て。 「中国の自動車市場の伸びが減速している。米中貿易摩擦だけではなく、小型車減税制度が廃止されたことも影響している。それでも特にEVなどの新エネルギー車は成長している。車の電動化は、非常に大きな波が押し寄せている」。 4月には中国でEV用駆動モーターの量産が始まる。 「完成車や1次部品のメーカーから多くの引き合いがあり、大忙しだ。当社はモーターとギア、インバーター(電力変換装置)を一体にした『トラクションモーターシステム』もあり、顧客の要望に応じたモーターを提供できる。中国のほか、ポーランドやメキシコの3極で生産する」         

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