絶えない企業の会計不正…「監査役」に期待されるコト

監査役協、9日全国会議

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日本監査役協会会長・岡田譲治氏
 日本監査役協会は9日に、横浜市内で「コーポレート・ガバナンス改革を踏まえた監査役等の在り方」を主なテーマとした全国会議を開く。企業統治を強化する上での規範となるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)や、機関投資家向け指針であるスチュワードシップ・コードなど、企業統治改革が進んでいるが、企業による不正は依然として起きている。監査役が期待される役割も変化しつつあるようだ。

監督機能充実


 2015年から実施されたコーポレートガバナンス・コードでは、取締役会の監督機能や開示などの充実が取り上げられたほか、監査役についても積極的に権限を行使することが原則として求められるようになった。

 同協会の岡田譲治会長(三井物産常勤監査役)は、コーポレートガバナンス・コードにおける監査役の役割について、「従来の“守りの機能”だけではなく、企業の持続的成長や、企業価値向上の一翼を担うことが求められている」と指摘する。

不祥事複雑化


 グローバル化の進展で不祥事が複雑化し、海外子会社による不正発覚など、幅広く視野を広げることも重要になる。

 一方で、日本のような監査役制度は海外にはなく、理解が得られにくい課題もあるため、海外に向けた情報発信も欠かせない。

 岡田会長は「終身雇用制度で形作られてきた日本企業のガバナンスにおける常勤監査役の存在意義を理解してもらうことが大事だ」と強調。「グローバルで活動する監査法人を監査人として起用することも有効な手段の一つだろう」としている。

インタビュー/日本監査役協会会長・岡田譲治氏 会計不正防ぐ実効性向上


監査役の役割の変化について岡田譲治会長に聞いた。

 ―企業による会計不正が絶えません。どんな対策が求められますか。
 「企業不祥事が絶えないことは真摯(しんし)に受け止めているが内部通報などによって不祥事が表に出るようになった面もある。自浄作用によるガバナンス向上の契機とも捉えている」

 ―ガバナンス向上に向けて大切な点は。
 「不正を発見するだけではなく予防できる仕組みづくりや企業風土の醸成が重要だ。監査役の立場からは三様監査(監査役監査、内部監査、公認会計士もしくは監査法人による監査)の推進など、コミュニケーションを通じて監査の実効性を高めていくことも大切だ」

 ―今後、上場企業では監査人の監査報告書に「監査上の主要な検討事項」(KAM)の記載、有価証券報告書に監査役の活動の記載が求められることになります。
 「KAM導入を機に今後はより一層、監査人とのコミュニケーションが必要となるだけではなく、経営側とのコミュニケーションも今まで以上に行い、経営側に物を申す覚悟を持つ必要があるだろう。監査人がどのような所に着目し、重点的に監査したかが分かれば、企業と投資家との対話は進むことになり、監査品質の向上にもつながる」
(文=浅海宏規)

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