搭乗者1000万人到達!ピーチ、ジェットスター“LCC二強”の今後
中国への就航視野。成田の有効活用か仙台などの拠点化か
成田はLCCに「厳しい空港」
今後の事業拡大で懸案となるのが、午後11時から翌朝6時まで運航出来ない、成田空港の運用時間だ。片岡会長は「午後11時で閉まってしまうのは、LCCのビジネスモデルとしては、非常に厳しい空港。調整が非常に難しいと思うが、航空会社としては(運用時間について)弾力的な運用をしていただけるとありがたい」と要望を述べた。
ピーチも、成田の拠点化を視野に入れているものの、運用時間の制限が課題。状況によっては、前述のように第3拠点は仙台先行となる可能性もある。
一方で、空港へのアクセスの整備なども不可欠だと片岡会長は指摘。「成田で午前0時以降に運航した場合、実際にお客様に使っていただけるかは別の話。空港へのアクセスなどの問題もある。一概に運用時間だけ延ばして、お客様がついてくるというのは難しい」と語った。
ジェットスター・ジャパンでは、成田での機体の有効活用策として、午後11時までに成田を出発し、翌朝6時すぎに成田へ戻る国際線の運用を検討する。
台湾でブランド築いたピーチ
ピーチが2012年3月の就航当初から拠点とする関空。ジェットスター・ジャパンも2014年6月12日に第2拠点化し、夜間整備・駐機ができるようになった。第2拠点化については、「20機を有効活用できるようになった。関空拠点化後に国際線を飛ばす計画だったが、2月に香港線を開設できたので、多様な旅客を取り込めるようになった。昨年と比べて良い方向に向かっている」と、片岡会長は手応えを語る。
しかし、関空はピーチの本拠地であるほか、中国最大のLCC、春秋航空も拠点化した。春秋は主に中国内陸部からの送客に力を入れていく。関空を第2拠点化したジェットスター・ジャパンにとって、中国本土への路線開設も重要な検討課題となっている。
中国本土について、ピーチの井上CEOは「視野に入れている」とするが、現時点で明かした計画はない。一方、台湾については、すでにピーチが一定の地位を築きつつある。
「現地記者の反応がすごい。台湾でのブランド力が上がったと実感している」(井上CEO)と、日本のクールなブランドとして、ピーチが認知されてきたと手応えをみせる。現地の高級ホテルからは、記者会見場に利用して欲しいと声がかかるなど、低価格運賃を売りにするピーチが、台湾では日本のハイブランド企業として迎えられている。
早朝便とはいえ、ピーチは羽田からの台北線開設にこぎつけた。週6往復でのスタートだが、10月25日からの冬ダイヤからは1日1往復(週7往復)のデイリー運航に体制を整える。国内LCCの国際線展開を見ると、ピーチについては、アジアで台湾という足場を築けたと言える。
一方で、訪日需要が旺盛な中国本土からは、フルサービス航空会社やLCCといったビジネスモデルを問わず、日本への新規就航が盛んだ。国内LCCも、台湾や香港での成功を足がかりに、日本進出が著しい中国への早期就航による需要取り込みが、今後の課題となるだろう。