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キリンが成長を期待する「医と食をつなぐ事業」の中身

新中期経営計画を策定
 キリンホールディングス(HD)は14日、新中期経営計画(2019―21年度)を策定したと発表した。医薬事業と酒類・飲料事業で成長の基盤を築くとともに、両事業の中間となる健康・未病の領域で「医と食をつなぐ事業」を立ち上げて成長エンジンに位置付ける。3カ年の投資額で約1兆円以上を計画し、このうち約3000億円を新事業領域などでM&A(合併・買収)を中心に投じる。

 新中計の重要課題として既存事業の利益成長と、医と食をつなぐ事業の育成などを掲げた。財務目標として、平準化EPS(1株当たり利益)で年5%以上の成長率と、投下資本利益率(ROIC)で21年度に10%以上を目指す。

 医と食をつなぐ事業は、キリン独自のプラズマ乳酸菌事業など健康志向や未病対策に関する領域。今後、高機能素材や個別化サプリメントなどの開発を強化し、事業を推進する。既存事業ではキリンビールで主力ブランド「一番搾り」などに集中的に投資する。豪ライオンを中心にクラフトビールの海外展開も強化する。また、医領域では協和発酵キリンがグローバル戦略品を成長ドライバーとし、グループ全体の成長を中期的にけん引する。

 同日発表した18年12月期連結決算(国際会計基準)は売上収益1兆9305億円(前期比3・6%増)、事業利益1993億円(同2・4%)と増収増益。19年12月期連結業績見通しは売上収益2兆円(同3・6%増)を目指す。ただ新中計に向けた投資実施を踏まえ事業利益は1900億円(同4・7%減)を見込む。
日刊工業新聞2019年2月15日

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