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化学大手の業績は底堅くも“条件付き”、理由は?

 総合化学6社が7日までに発表した2019年3月期連結業績予想は4社が前回見通しを据え置いた。米中貿易摩擦を背景に石油化学市況悪化やスマートフォン・自動車市場の減速が顕著になる中で、事業や顧客の多様化で逆風を相殺する底堅さを示す。ただ、各社の予想は米中摩擦がさらに激しくならないという“条件付き”であり、業績の下振れリスクは小さくない。

 旭化成は7日、住宅とヘルスケア部門が堅調ながら、19年3月期業績予想を下方修正した。主要因は18年末まで歴史的な高値だった樹脂・繊維原料のアクリロニトリルの暴落だ。19年1―3月期の利ザヤが前期比で約3分の1に縮小する見込み。ただ、「特殊な事情なのでどこかで安定するので、1月が底だろう」(柴田豊専務)と市況反転を期待する。

 通期業績予想を据え置いた住友化学は稼ぎ頭だった鶏飼料添加物の不振をディスプレー部材などの拡販で補う。偏光フィルムは大型液晶テレビ向けのほか、スマホ向けも好調を維持。「スマホ全体の需要は前年と大きく変わっておらず、急激な減速は当社には当てはまらない」(野崎邦夫専務)とし、米中韓のスマホ大手と幅広く取引することでリスク分散につなげる。

 同じく東ソーも半導体製造用治具に使う石英ガラスなどの機能商品が堅調だ。「石英ガラスはもともと品薄で、今のところ顧客から減速の懸念は聞いていない」(米沢啓執行役員)と先行きは悪くない。

 宇部興産は通期で主力の化学部門の業績上振れが期待できる。「(自動車用タイヤなどに使う)合成ゴムは下期に原料価格が低下し、カプロラクタムも10―12月期まで価格が堅調だった」(藤井正幸執行役員)と主力製品の利幅拡大を見込む。

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