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メルカリが「新聞織り込みチラシ」を展開する本当の狙い

シニア層に積極アピール
メルカリが「新聞織り込みチラシ」を展開する本当の狙い

3種類の新聞広告をつなげると「M」が完成

 個人同士が多様な商品を売り買いできるフリーマーケットアプリケーション(応用ソフト)を手がけるメルカリが、シニア層の開拓を急いでいる。若者を中心に7500万の顧客基盤を持つメルカリは、ユーザー層を広げてさらなる成長を図る。新聞折り込みチラシを試行的に展開するなど“尖った広告活動”で、これまでメルカリになじみが薄かったシニア層に積極的にアピールしていく。

 「徒歩0分!スマホの中でオープン!」「24時間営業中!」。メルカリが2018年末に配布した新聞折り込みチラシは、会員制交流サイト(SNS)の「ツイッター」で大きな話題を呼んだ。ユーザー拡大に向けたこの実証は、地場の新聞社の影響力が強いと試算した北海道と愛知県で行い、約190万部を配布した。

 チラシには実際に出品された商品を掲載したり、裏面にダウンロード(DL)方法を紹介したりと工夫を凝らした。こうした取り組みを仕掛けたメルカリの村田雅行執行役員最高マーケティング責任者(CMO)は「『メルカリではトイレットペーパーの芯も売れるのか。商品がこんなに安く買えるのか』といったメルカリ“内部”を知ってもらうきっかけを作った」と話す。

 このほか1月にも新聞の全面広告を出稿。デザインの違う広告を3種類制作し、3地域で配布した。それらを合わせるとメルカリの頭文字「M」が完成するものだ。これも高齢者やお茶の間でメルカリが話題になることを狙った取り組みの一つ。狙い通りSNSで話題を呼んだ。

 メルカリがシニア層開拓を急ぐもう一つの理由は、自宅に眠った「隠れ資産」を流通させることにある。家庭で1年以上使われていない物品を隠れ資産と呼び、現在1世帯当たり約70万円の資産が眠っているという。「隠れ資産を持つ人はシニア層が多い。メルカリで隠れ資産を売って得たお金を使って孫にプレゼントする、といった利用もできることを知ってもらいたい」と村田執行役員CMOは狙いを明かす。

 フリマアプリ市場は拡大基調が続く。経済産業省がまとめた「電子商取引に関する市場調査」によると、フリマアプリの17年の市場規模は前年比58・4%増の4835億円だった。そのトップを走るメルカリだが、DL数7500万に対し、実際に利用しているアクティブユーザー数は月間1100万で「まだまだ少ない」(村田執行役員CMO)ことが課題だ。その打開策が折り込みチラシや全面広告というわけだ。「尖っていたり攻めていたり、リミッターが外れたアイデアがこれからも出てくるだろう」(同)と意欲を示す。

 一方、アプリ操作に不慣れな高齢者も多いことから、簡単に出品したり購入したりできる機能の拡充が欠かせない。こうした受け入れ態勢を強化することもユーザー獲得につながりそうだ。
(文=大城蕗子)
日刊工業新聞2019年2月6日

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