トヨタ系サプライヤーの業績、「米中」直撃で下方修正相次ぐ
4社が通期見通しを下方修正
米中貿易摩擦が日系自動車部品メーカーに与える影響が、徐々に増している。中国新車市場の減速や関税の影響を受けて、トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社の内、計4社が2019年3月期連結業績見通しを下方修正した。通商問題の長期化は成長のさらなる阻害要因となる懸念がある。
豊田自動織機、豊田合成、愛知製鋼を除く4社が全利益段階で下方修正した。デンソーは中国での市場減速や原材料費の悪化が主な要因。特に中国内陸の都市部で現地車メーカーや米フォードモーターの販売が減速している。営業利益の下方修正分130億円の内、環境悪化の影響が90億円を占めると明かした。松井靖常務役員は「中国の減速が顕在化している」として「自由な貿易ルールの上で製品展開できる体制になれば」と期待を語った。
アイシン精機は2度目の下方修正を実施。中国で現地、欧州メーカーの減速を受けて、変速機の販売台数を従来予想比35万台減の1143万台にした。ただ、川崎有恒常務役員は「中国は中長期的には拡大が見込める」として、中国での変速機の増産計画も「タイミング変更の検討はするが、進める」と説明した。ジェイテクトは電動パワーステアリング(EPS)の採算改善遅れや、中国でのステアリング(操舵装置)販売減が響く。高橋伴和専務は「中国地場メーカー中心に影響を受けている」としている。
トヨタ紡織は日本などでの新製品費用増や、価格競争激化の影響を盛り込んだ。通商問題については「全体経済が冷え込めば間接的に影響する」(笛田泰弘専務役員)と、注視する姿勢を示した。
見通しの修正がない3社も足元では影響が出ている。18年4―12月期連結決算は、7社全てが営業減益となった。豊田自動織機の河井康司常務役員は貿易摩擦の影響を「電子系部品で商流変更を検討している」と明かす。各社が今後、対応を迫られる可能性もある。
トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社が31日発表した2018年4―12月期連結決算は、東海理化を除く5社が営業減益だった。北米での減収や関税の影響、人件費や原材料の高騰が響いた。売上高は4社が増収、2社が減収。また4社が19年3月期連結業績見通しの全利益段階を下方修正した。
東海理化は日本やアジアで主力のスイッチ類が伸び、売上高は4―12月期として過去最高。フタバ産業もほぼ全地域で増収となり同期で過去最高だったが、日本や北米で新製品立ち上げ費用がかさんだ。愛三工業は国内やアジアの堅調に対し、価格競争が響いた。
大豊工業はメタルワイヤなどが堅調な一方、トヨタ向け部品製造設備の減収や労務費増、アルミニウムなどの原料費高騰で減益。中央発條は国内でバネ製品やケーブルなどの販売減と、北米で中国からの原材料輸入により関税費用がかさんだ。影響額は数千万円程度で、小出健太専務は「生産移管は採算性を見極めて考える」とした。ファインシンターは米国やタイでの車部品や、国内の新幹線向け部品が好調だが、生産立ち上げ費用や原料のコバルト価格増が利益を押し下げた。
通期利益見通しは大豊工業とファインシンター以外が下方修正。製品切り替えに伴う費用増や北米関税負担、原材料費増が響く。東海理化は為替の円高への見直しや、セーフティー事業で固定費の減損影響を盛り込む。西田裕取締役は「受注は取れており、近く黒字化する」とした。愛三工業は韓国子会社で労使争議が長引いたことが要因。石田智也副社長は「労使間の信頼回復に努める」とした。
豊田自動織機、豊田合成、愛知製鋼を除く4社が全利益段階で下方修正した。デンソーは中国での市場減速や原材料費の悪化が主な要因。特に中国内陸の都市部で現地車メーカーや米フォードモーターの販売が減速している。営業利益の下方修正分130億円の内、環境悪化の影響が90億円を占めると明かした。松井靖常務役員は「中国の減速が顕在化している」として「自由な貿易ルールの上で製品展開できる体制になれば」と期待を語った。
アイシン精機は2度目の下方修正を実施。中国で現地、欧州メーカーの減速を受けて、変速機の販売台数を従来予想比35万台減の1143万台にした。ただ、川崎有恒常務役員は「中国は中長期的には拡大が見込める」として、中国での変速機の増産計画も「タイミング変更の検討はするが、進める」と説明した。ジェイテクトは電動パワーステアリング(EPS)の採算改善遅れや、中国でのステアリング(操舵装置)販売減が響く。高橋伴和専務は「中国地場メーカー中心に影響を受けている」としている。
トヨタ紡織は日本などでの新製品費用増や、価格競争激化の影響を盛り込んだ。通商問題については「全体経済が冷え込めば間接的に影響する」(笛田泰弘専務役員)と、注視する姿勢を示した。
見通しの修正がない3社も足元では影響が出ている。18年4―12月期連結決算は、7社全てが営業減益となった。豊田自動織機の河井康司常務役員は貿易摩擦の影響を「電子系部品で商流変更を検討している」と明かす。各社が今後、対応を迫られる可能性もある。
中堅メーカーは
トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社が31日発表した2018年4―12月期連結決算は、東海理化を除く5社が営業減益だった。北米での減収や関税の影響、人件費や原材料の高騰が響いた。売上高は4社が増収、2社が減収。また4社が19年3月期連結業績見通しの全利益段階を下方修正した。
東海理化は日本やアジアで主力のスイッチ類が伸び、売上高は4―12月期として過去最高。フタバ産業もほぼ全地域で増収となり同期で過去最高だったが、日本や北米で新製品立ち上げ費用がかさんだ。愛三工業は国内やアジアの堅調に対し、価格競争が響いた。
大豊工業はメタルワイヤなどが堅調な一方、トヨタ向け部品製造設備の減収や労務費増、アルミニウムなどの原料費高騰で減益。中央発條は国内でバネ製品やケーブルなどの販売減と、北米で中国からの原材料輸入により関税費用がかさんだ。影響額は数千万円程度で、小出健太専務は「生産移管は採算性を見極めて考える」とした。ファインシンターは米国やタイでの車部品や、国内の新幹線向け部品が好調だが、生産立ち上げ費用や原料のコバルト価格増が利益を押し下げた。
通期利益見通しは大豊工業とファインシンター以外が下方修正。製品切り替えに伴う費用増や北米関税負担、原材料費増が響く。東海理化は為替の円高への見直しや、セーフティー事業で固定費の減損影響を盛り込む。西田裕取締役は「受注は取れており、近く黒字化する」とした。愛三工業は韓国子会社で労使争議が長引いたことが要因。石田智也副社長は「労使間の信頼回復に努める」とした。
REF:日刊工業新聞2019年2月1/4日