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月を削るロボット―筑波大、開発小型掘削ロボ開発

二重反転ドリルで反力相殺
月を削るロボット―筑波大、開発小型掘削ロボ開発

川村筑波大准教授が開発した小型掘削ロボット「DigBot」(同大提供)

 筑波大学システム情報系の川村洋平准教授らは、小型掘削ロボット「DigBot(ディグボット)」を開発した。遊星歯車を組み込んだ二つのドリル刃を同軸上で反転させ、掘削時の反力を相殺して安定した掘削を実現した。砂の中ならドリルの推力だけで進めるという。地盤調査や月面掘削に提案。3年をめどに地盤の固さや地下水の調査向けの専用機を開発する。
 
 地面からの反力を相殺するために二重反転ドリルを開発した。先端の巻き方が反対のドリルを組み合わせた構造。1本の回転軸でドリルの刃が2方向へ同時に回転するため、搭載するモーターが一つですむ。最大限のモーターを選べ、トルクを大きく設計できる。

 本体の直径は3センチメートル。ドリルの直径は3・5センチメートル。砂層ではドリルだけで推進できるが、抵抗の大きな粘土層では推進力が必要となるため、現在、推進力を増やすために追加部品を開発中。地中で方向転換できるように改善も図る。

 大がかりな設備がなくても掘削でき、汎用性が高い。地盤試料の採取や、地中の水分量計測、汚染物質の計測などに向く。宇宙開発用途では、月の砂「レゴリス」の模擬砂の掘削が可能なことを確認した。惑星衛星の地下調査や探査施設のくい打ちに提案していく。
日刊工業新聞2015年08月06日 科学技術・大学面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
小型で、汎用性の高いロボット。改良を加える部分は多そうですが、宇宙でいろいろな星の掘削に活躍できるとよいですね。

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