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NTT西、エネルギー事業拡大のテコは「通信ビルを“スマート”に」

電力最適制御システムを商用化へ
 NTT西日本は2019年度にも、太陽光発電、電気自動車(EV)、オフィスビルの電力を情報通信技術(ICT)によって最適制御するシステムを商用化する。電力消費量や二酸化炭素(CO2)排出量を抑えられる。企業や地方自治体に提案して、スマートエネルギー関連の事業拡大を進める。今後は電話の交換機やネットワーク機器を置く自社の「通信ビル」の非常用電源を同システムに取り込み、モデルを示して提案を加速させる考えだ。

 小林充佳社長は27日までに日刊工業新聞の取材に応じ、「(地産地消型のエネルギー社会を)当社のビルを核にしてつくりたい」との考えを示した。通信ビルを“スマートビル”にして、スマートシティー(次世代環境都市)の実現を後押しする意向だ。

 通信ビルの電源を強化するため、19年度中にも非常用電源としている鉛蓄電池を安全性やコストなどを検証した上で高効率なリチウムイオン蓄電池に入れ替え始める。同電池を活用し太陽光発電、EV、ビルとの間で、電力の需要と供給を調整する。リチウムイオン蓄電池にすることで、非常用電源を交換する頻度を少なくすることも期待できる。10年後をめどに、管内にある数千棟の更新を終える計画。

 同社は12月上旬、山口支店(山口市)の通信ビルを活用し、太陽光発電、EV、ビルとの間で電力を相互融通する実証実験を始めた。実験の結果を踏まえ、その他の地域でも実証を進めて商用サービスに移行させる。
日刊工業新聞2018年12月28日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
親会社のNTTは米ラスベガス市をスマートシティ化する事業に挑みます。また、NTT西の通信ビルでは、固定電話回線の契約数の減少に伴って生まれる空きスペースの有効活用策として、イチゴの屋内栽培事業に挑んでいます。

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