当期益が最高(4―6月期)だったソニーが頼りにする画像センサーの成長力
需要の主役、アップルとの関係はどうなる?自動車向けの緊密パートナーは?
増産に次ぐ増弾!普及価格帯にも食い込みシェアをさらに高める
ソニーは7日、2016年9月末までにCMOSイメージセンサー(撮像素子)の生産能力を現行比45%増の月8万7000枚(300ミリメートルウエハー換算)に引き上げると発表した。2月に月8万枚に増やす計画を発表したばかりだが、約450億円の追加投資を実施し増強する。スマートフォン向けの商機が普及価格帯にも広がっているため、追加投資を行って先行する。
ソニーは2月に総額1050億円を投じ、月産8万枚にする計画を決定。今回、これとは別に長崎県の工場に約240億円、山形県の工場に約210億円を投じて増強する。15―17年度の経営計画でイメージセンサー事業を成長領域に位置付けており、重点的に投資して電機部門の復活を急ぐ。
同社のスマホ向け画像センサーの世界シェアは40%強で、トップに位置する。ただ、近年は画素数競争に頭打ち感が出ており、技術的な優位性が剥落(はくらく)しつつある。コモディティー(汎用品)化の進展で価格競争に陥る前に普及価格帯にも食い込み、市場シェアを高めるのが狙いと見られる。シェアトップを維持することで価格交渉や材料調達を優位に進め、収益力の低下を防ぐ考えだ。
スマートフォン向けのCMOSイメージセンサーの需要が引き続き底堅く推移する見通しだ。スマホ自体は成長が鈍化するものの、CMOSイメージセンサーについては今後も、端末を差別化するキーパーツとして存在感を示すことが考えられる。
米アップルの「iPhone 6」「6 Plus」の販売が依然として好調なほか、米アップルの成功を受けて中国のスマホメーカーが端末に、より高画質の写真を撮影できるカメラ機能を搭載し、端末の差別化を図る動きが加速している。
また、差別化戦略の一環で外側だけでなく内側カメラを高機能化し、ユーザー自身を撮影する「自撮り」機能を向上させようとする端末メーカーが増えていることなども背景にある。
<4月8日付>
日刊工業新聞2015年07月31日 1&3面