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物流施設サービスで拡大する従量課金モデル

日立物流など本腰へ
物流施設サービスで拡大する従量課金モデル

大和ハウス工業はAIやロボットを使ったシェアリングモデルの実証を始めた(現場を動き回る物流ロボ「Butler(バトラー)」)

 物流施設内の保管や仕分けといったロジスティクスサービスを標準化し、従量課金で提供するシェアリングモデルが立ち上がりつつある。日立物流は2019年度に参入する計画。実証段階の大和ハウス工業は18年度内に本格営業を始める。サービスを提供中のオープンロジ(東京都豊島区)は19年度、中国に進出する。電子商取引(EC)事業者の急成長を背景に、従来の企業向けロジスティクスサービスでは、新たな物流ニーズへの対応に限界が生じている。

 日立物流は数十億円を投じて、埼玉県春日部市の物流施設にシェアリング型プラットフォームセンターを構築する。複数荷主の荷物の混流を想定してラインとオペレーションを最適化。保管やピッキング、梱包(こんぽう)などを自動化し、従来作業比50%の省人化を目指す。

 従来型のロジスティクスサービスは、物流施設の賃料、専用設備の導入費用、作業者確保など多額の初期投資が必要だった。荷物の出荷量に応じて課金する新たなモデルは、売り上げが小規模なEC事業者でも利用でき、拡大時の物流混乱を避けることも可能だ。

 大和ハウス工業は18年春に千葉県市川市の物流施設で、実際の荷主も参加して人工知能(AI)やロボットを使ったシェアリングモデルの実証を始めた。千葉県流山市の物流施設で、床面積約3万平方メートルを使った本格運用の準備を進めている。

 シェアリングモデルは、多くの荷主が相乗りすればスケールメリットが発生する。異なる業種の荷主が参加することで、物量の波も全体で吸収し、設備や人員の平準化を図れる。

 シェアリングモデルの確立はベンチャーが先行している。オープンロジは14年から中小のEC事業者向けに、倉庫事業者と連携して保管と発送業務を従量課金で提供してきた。19年には中国とインドネシアに参入する計画だ。現地で提携先倉庫の調査に取り組む。
日刊工業新聞2018年11月1日

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