広告活動を高度化へ…電通が多様化するメディア視・聴・読習慣を可視化
電通・美和晃メディアイノベーション研究部長インタビュー
スマートフォンの登場などにより消費者が触れるメディアは多様化した。余暇時間にテレビを視聴する人もいればスマホで動画を視聴する人もいる。ラジオが中心の人も少数派ながらいるだろう。ただ、これまではどんな生活行動の人がいつどんなメディアを見たり聴いたり読んだりするのか、そしてそれぞれの習慣を持つ人がどの程度の割合でいるのかという全体像は見えにくかった。
その中で電通は、出来事や状態の変化など順序あるデータの分析に用いる統計解析手法「ソーシャル・シークエンス分析」を用いて、その全体像を明らかにした。電通メディアイノベーションラボの美和晃メディアイノベーション研究部長にその狙いや意義を聞いた。
―生活者のメディア視・聴・読習慣を30パターンに分類しましたが、その意義は。
「夜勤の人のメディア接触習慣など、少数派でこれまでの調査ではなかなかカバーできていなかった人たちについて、その習慣や割合を具体的にあぶり出せた。研究にはビデオリサーチの『生活・メディア行動調査データ(MCR/ex)※』を活用しており、各グループに属する人の性別の割合や年齢層、家族構成なども明らかにしている。インターネット広告ではすでに時間帯やターゲットの属性や興味関心を踏まえた展開が求められているが、今回の結果を活用すれば、ネットに限らない複数のメディアにまたがる行動を踏まえたターゲティング広告ができる」
―研究によりあぶり出した少数派の例を教えて下さい。
「平日の日中のほとんどの時間について外出先で仕事などしながらラジオを聞いている人が0・7%(図表1左下の①)いる。(例えばトラック運転手など)実際にそういう人が居ることは想像できたが、どの程度いるかまで主観を交えずに明らかにした」
―逆にもっとも多いグループは平日の日中は外出し、夜中心にテレビを視聴する人たちで12.7%(図表1右下の②)いますね。
「同様のライフスタイルを持ち、夜中心にインターネット動画を視聴するグループが3.7%(図表1右下の③)いることに注目したい。グループの平均年齢は30.0歳で『夜中心テレビ視聴型』の平均41.9歳に比べて若く、今のマジョリティーに取って代わる世代と言える。“テレビ離れ”と言われるが、今回の研究結果はその実態をより深く明らかにしている」
―夜にネット動画を視聴するグループは時間帯に応じたパソコンとモバイル端末の使い分けも特徴的です。
「22時まではパソコン視聴とモバイル視聴が半分ずつだが、それ以降はモバイル一辺倒になった。風呂を上がり個室に入ったと考えられる時間帯に動画を視聴すると思った人はほとんどがモバイル端末を利用するということだろう。この結果は動画広告の配信について、22時以降は横型より縦型の方が効果的など事業性の検討に利用できる」
―今回の研究に用いたソーシャル・シークエンス分析とはどういうものですか。
「DNAの配列に応じた人の傾向を分類するために開発された手法で1990年代に社会分野の学者が使って発展させてきた。AとBがどれくらい似ているかを数値化し、調査対象を似ているもの同士でグループ化していく。分析ツールは人工知能(AI)が最先端だが、AIはなぜそういう結果を出したかが分からない。(ソーシャル・シークエンス分析のような)シンプルな手法が役に立つ余地はある」
―今後はどのように研究を進めていくお考えですか。
「全国主要7都市のMCRデータを活用して分析したい。メディア接触習慣の地域差について明らかにできる期待がある。また、単純にデータ数を拡大することでより細かい分類ができるかもしれない」
その中で電通は、出来事や状態の変化など順序あるデータの分析に用いる統計解析手法「ソーシャル・シークエンス分析」を用いて、その全体像を明らかにした。電通メディアイノベーションラボの美和晃メディアイノベーション研究部長にその狙いや意義を聞いた。
―生活者のメディア視・聴・読習慣を30パターンに分類しましたが、その意義は。
「夜勤の人のメディア接触習慣など、少数派でこれまでの調査ではなかなかカバーできていなかった人たちについて、その習慣や割合を具体的にあぶり出せた。研究にはビデオリサーチの『生活・メディア行動調査データ(MCR/ex)※』を活用しており、各グループに属する人の性別の割合や年齢層、家族構成なども明らかにしている。インターネット広告ではすでに時間帯やターゲットの属性や興味関心を踏まえた展開が求められているが、今回の結果を活用すれば、ネットに限らない複数のメディアにまたがる行動を踏まえたターゲティング広告ができる」
※MCR/ex:ビデオリサーチが1997年から毎年行っている生活者行動のデータベース。特定の1週間の行動を日記形式により15分単位で記録し、曜日別に時間軸に沿って捕捉する。14年以降、全国主要7都市圏で調査している。今回の研究で用いたデータは17年度の東京50キロメートル圏に住む12―69歳の男女4971人分。
―研究によりあぶり出した少数派の例を教えて下さい。
「平日の日中のほとんどの時間について外出先で仕事などしながらラジオを聞いている人が0・7%(図表1左下の①)いる。(例えばトラック運転手など)実際にそういう人が居ることは想像できたが、どの程度いるかまで主観を交えずに明らかにした」
―逆にもっとも多いグループは平日の日中は外出し、夜中心にテレビを視聴する人たちで12.7%(図表1右下の②)いますね。
「同様のライフスタイルを持ち、夜中心にインターネット動画を視聴するグループが3.7%(図表1右下の③)いることに注目したい。グループの平均年齢は30.0歳で『夜中心テレビ視聴型』の平均41.9歳に比べて若く、今のマジョリティーに取って代わる世代と言える。“テレビ離れ”と言われるが、今回の研究結果はその実態をより深く明らかにしている」
―夜にネット動画を視聴するグループは時間帯に応じたパソコンとモバイル端末の使い分けも特徴的です。
「22時まではパソコン視聴とモバイル視聴が半分ずつだが、それ以降はモバイル一辺倒になった。風呂を上がり個室に入ったと考えられる時間帯に動画を視聴すると思った人はほとんどがモバイル端末を利用するということだろう。この結果は動画広告の配信について、22時以降は横型より縦型の方が効果的など事業性の検討に利用できる」
―今回の研究に用いたソーシャル・シークエンス分析とはどういうものですか。
「DNAの配列に応じた人の傾向を分類するために開発された手法で1990年代に社会分野の学者が使って発展させてきた。AとBがどれくらい似ているかを数値化し、調査対象を似ているもの同士でグループ化していく。分析ツールは人工知能(AI)が最先端だが、AIはなぜそういう結果を出したかが分からない。(ソーシャル・シークエンス分析のような)シンプルな手法が役に立つ余地はある」
―今後はどのように研究を進めていくお考えですか。
「全国主要7都市のMCRデータを活用して分析したい。メディア接触習慣の地域差について明らかにできる期待がある。また、単純にデータ数を拡大することでより細かい分類ができるかもしれない」
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