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文房具、各国・地域で異なる仕様にアレンジ

文房具、各国・地域で異なる仕様にアレンジ

ベトナムのヌンチャク工場はマザー工場として、日本や海外向けにテープのりや修正テープなどを生産している

 プラス(東京都港区、今泉公二社長、03・5860・7000)は、1995年に海外生産拠点としてベトナムに進出してから20年が経過した。マザー工場としての機能を持つベトナム工場のほかに、中国の広東省汕頭市と上海市に2工場を持つ。2020年までに海外売上比率5割を目標に掲げ、最適な現地生産・現地販売を進める。

 ベトナムには、ドンナイ省に第1工場のビエンホア工場と第2工場のヌンチャク工場を持つ。両工場合わせて2500人を雇用している。ベトナム進出時は中国への生産シフトの流れが加速していた時代。プラスは縁もあり、ベトナムに生産拠点を構えて日本向け製品の生産を始めた。進出当時内製率は2割以下だったが、徐々に高め、現在は7割までになっている。

 ベトナム工場はマザー工場として、日本や海外向けにテープのりや修正テープ、ファイル、ホッチキス、はさみなどを生産している。ベトナム国内においても日本で開発した製品を現地仕様にアレンジし、販売する。今後は新たにベトナム向け専用の文具を開発し、2019年中にも販売を始める。修正テープやはさみ、ファイル、ノート、筆箱など、ベトナム人の社員が企画、開発し、製造販売する。3Dプリンターも導入した。鼻本泰樹執行役員は「現地専用商品を開発、生産、販売することで現地社員のモチベーション向上にもつながる」と話す。

 ベトナム工場には開発部門を設置し、20人が在籍。5年ほどかけて人材育成を図ってきた。また、生産工程の自動化も強化している。中田尚邦シニアエグゼクティブは「まずはベトナムでの自動化推進が最優先課題だ」と強調する。修正テープの基幹製品「ホワイパーミニローラー」の生産は19年度中をめどに完全自動化する。ヘッドとギア、交換テープ部分と他7部品との本体組み立てについて、外部の自動機器メーカーと連携し、新たな工作機械を導入して自動化する。工程全体の完全自動化を目指す。

 中国では、修正テープやコピーボードなどを生産している。修正テープについては現地向けの生産が9割を占め、軌道に乗っている。中国でも修正テープを使うようになり、今後も伸びしろがあるという。一方で紙製フラットファイルについては中国での販売が伸び悩んだため、16年に開設した埼玉県寄居町の寄居工場に機能を移管した。現在はベトナムと埼玉の2拠点で紙製フラットファイルを生産する。

 原材料は基本的には現地調達の方針だが、修正テープの白いテープやフラットファイルの紙など品質とコストに見合うものを現地で調達するのが難しく、日本から送っている。鼻本執行役員は「同等の仕様のものがあれば現地調達したい」と話す。
日刊工業新聞2018年9月5日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ベトナムでは北部と南部など地域によってノートのけい線が異なるように、文房具は各国、各地域で規格や仕様、材質が異なる。最適な生産体制を構築しながら、海外売上比率向上を図る。(高島里沙)

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