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患者本人のがんで薬効試験

京大が抗がん剤選定を最適化
患者本人のがんで薬効試験

写真はイメージ

 京都大学大学院医学研究科の武藤(たけとう)誠特命教授らは、手術で摘出した大腸がんを短期間かつ低コストで培養し、抗がん剤の効果を予測する薬剤感受性試験を開発した。

 患者自身のがん細胞で試験するため、大腸からリンパ節や他の臓器に転移したがんに対する抗がん剤の効果を、高い信頼性で予測できる。がんの多様な遺伝子パターンに応じた抗がん剤を、患者ごとに事前に選択しやすくなる。

 研究グループは摘出部位からがん細胞を分離し、球状の構造ができる立体培養を低コストの培養液で効率よく行う技術を確立した。試験では体内環境で抗がん剤の効果を確認できるよう、同技術で培養したがんを免疫異常のあるマウスに移植し、抗がん剤を投与して反応を確かめる。複数のマウスでも大きさが同じがんで試験できるため、信頼性が高い。

 転移後のがんに効果のあった抗がん剤で同試験を行うと実際の治療結果と一致した。今後、試験結果に基づき抗がん剤を投与する臨床試験を行う。
日刊工業新聞2018年8月17日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
京大発ベンチャーの京ダイアグノスティクス(京都市左京区)へ技術移転し、同試験の受託事業化を目指すそうです。

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