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経産官僚が英航空ショーで感じたMRJとニッポンへの期待

経済産業省 畑田浩之航空機武器宇宙産業課長
経産官僚が英航空ショーで感じたMRJとニッポンへの期待

畑田浩之課長

 -ファンボロー国際航空ショーでMRJを視察されました。感想を教えてください。
 「MRJは開発面で苦労していると言われるが、実際には開発はかなり進み、すでに良い飛行機が出来つつある。それをデモフライトとして皆さんに披露できたという意味で非常に良かった。静かな飛行機だということが伝わったと思う。私も他の飛行機に比べて静かに滑らかに飛んだという印象を持った。これでMRJは新しい段階に入った」

 -現地では海外の政府や企業の要人と対話されましたが、日本企業への評価をどのように感じましたか。
 「欧米の機体メーカーやエンジンメーカーなどと話をすると『日本との仕事を増やしたい』、『新しい日本企業と出会いたい』と言われる。経産省にも手伝ってもらいたいという話が来ており、日本のモノづくりに対する期待が強いことを示している。また彼らはアジアで飛行機を売る、同時にアジアと協力して作るということに興味を持っており、アジアの入り口の日本という意味での期待も感じた」

 -これまで経産省はMRJなど日本の航空機産業を支援してきました。今回の視察や対話を踏まえ、どう対応していきますか。
 「日本には技術力があり、航空機市場に参入したいという企業はたくさんある。2017年に『全国航空機クラスター・ネットワーク』(NAMAC、ナマック)を設立(日本航空宇宙工業界、通称SJAC内に事務局を設置)したが、この組織を活用して海外企業につないでいくことで、欧米からの期待と、日本の参入意欲に応えられる。双方がウィン・ウィンになり、日本の航空機産業が発展するシナリオを描ける感触を持っている」

 -NAMACの活動状況は。
 「2月にポータルサイトを構築し、どういうメンバーがどこに立地し、どういう能力を持っているかが把握できるようになった。また2月にマレーシアで、6月には東京でメンバーと海外企業とのマッチングを行った。海外では日本の中堅・中小企業は技術力が高いと思われているが、どんな企業があるのか分からなかった。NAMACを活用すれば、複数の企業に一度に会える利点がある。海外からマッチングの要請が相次いでおり、活動を評価されている」
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 国産小型ジェット旅客機「MRJ」が7月16-19日、英国の空を舞った。ロンドン郊外の空港で開かれたファンボロー国際航空ショー。目玉行事の飛行展示に、MRJが初めて加わった。1回7分間ほどの飛行は、大きな一歩になった。開発遅れが影響してか、新規受注は2年間途絶えている。そこで重要になるのが航空ショーだ。偶数年開催のファンボロー、奇数年開催のパリが世界の2大航空ショー。飛行展示は航空会社に機体性能を訴える機会だ。三菱航空機は17年のパリでMRJの実機を初展示したが、飛行はしなかった。水谷久和社長は「今回、航空会社の方に飛ぶ姿をご覧頂き、スタートラインに立った」と飛行展示の意義を説く。  出展各社はシャレーと呼ぶ施設を構え、航空会社幹部を招待する。ファンボローでは滑走路を見下ろす丘にシャレーが並び、2階のテラスで飛行展示を見せていた。三菱航空機は16日の飛行展示に100人ほどを招待し、「セールスポイントの飛行中の静かさを感じてもらうことができた」(水谷社長)。MRJは3日間、飛行展示した。飛行した試験3号機は、初納入先のANA仕様の塗装だ。  その撮影は、取材の大きな山場だった。撮影場所は毎回変えた。16日は報道機関用施設の屋上から。着陸は近くで撮影できたが、離陸は距離があった。そこで18日は滑走路の端に移動し、離陸の姿をうまく収めた。19日は滑走路の中央に構え、離陸と着陸両方のバランスを取った。連写機能を最大にしてシャッターを押し続けた。コマ送りのように続く画像を眺めるうち、きれいな機体だと感じた。飛行試験拠点を米国に移すため、愛知県営名古屋空港を出発する試験機を16年に撮影したが、その時よりも機体が生き生きしているように見えた。 (日刊工業新聞名古屋支社・戸村智幸)

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