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三菱重工「MRJ新規受注急がず」の真意

型式証明の取得前の受注残、経営的にネガティブ
三菱重工「MRJ新規受注急がず」の真意

7月の英航空ショーの飛行展示後、握手する宮永俊一三菱重工社長(中央)、水谷久和三菱航空機社長(右)、伊東裕ANA常務執行役員

 三菱重工業の小口正範副社長は国産旅客機「MRJ」について「型式証明(TC)を取得していない段階でバックログ(受注残)を増やすのは経営的にネガティブ」と述べ、新規受注を急がない方針を明らかにした。オプションを含めて387機の受注残を抱えるが、度重なる納期延期で新規受注は停滞。ただし、「ビジネスチャンスが減る状況ではない」(小口副社長)と見ており、当面は2020年半ばの初号機納入に集中する。

 三菱重工の2018年4―6月期決算では、現状で収益に貢献していないMRJの開発投資がピークを迎える中、業績に与えるインパクトを初めて定量的に開示した。事業利益では4―6月期に225億円、19年3月期では900億円の利益押し下げ要因になる見込み。

 MRJを含む「航空・防衛・宇宙」部門の損失を、発電機器事業の「パワー」部門やフォークリフトなど量産品中心の「インダストリー&社会基盤」部門で補い、受注を含めて業績は総じて「堅調に推移している」(同)。
                   

 
日刊工業新聞2018年8月6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
債務超過に陥っている三菱航空機(愛知県豊山町)の資本増強については「ニューマネーを入れる」(同)と説明。ステークホルダーと増資検討協議を本格化すると同時に、米ボーイング向けの民間機事業とシナジーを最大化する体制強化を検討する。 (日刊工業新聞・鈴木真央)

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