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戦闘機からMRJまで。発注先から信頼される「設計十訓」

タマディック、次は海外での取引拡大目指す
 タマディック(東京都新宿区、森実敏彦社長)は、航空宇宙産業の発展に貢献してきた設計会社だ。三菱重工業の設計者だった森実社長の祖父が1959年に設立し、戦後初の国産旅客機「YS11」の設計作業に参加するなど、航空機や戦闘機、ロケットの設計に携わってきた。

 航空宇宙産業が集積する愛知県に、980人の社員の7割近くが在籍する。航空機だけでなく、治工具など生産設備の設計にも強い。三菱航空機(愛知県豊山町)が開発中の国産小型ジェット旅客機「MRJ」の設計にも関わっている。

 顧客は航空宇宙にとどまらない。18年3月期の売上高126億円中、航空宇宙は25・7%で、自動車が44・5%で最多だ。ロボットなど工場自動化(FA)分野も20・5%。森実社長は「設計・開発なら何でもやる」と自社を表現する。

 海外にも進出している。14年に中国・上海市に初の現地法人を設立。日系メーカーの中国工場の品質確保のため、工場の生産設備の設計や、製品自体の設計を手がけてきた。

 17年には、米ワシントン州に2カ所目の現地法人を設立した。米ボーイングの主力工場など航空機産業が集積するエバレット市内に立地する。森実社長は「ボーイングのサプライヤーと取引したい」と意気込む。同州では三菱航空機がMRJの飛行試験を実施しており、設計を支援している。自動車業界からの受注拡大も目指す。

 今後の方向性として、仕事の付加価値を高めることを掲げる。カギとなるのが、社員の8割を占めるエンジニアだ。森実社長は「技術の進歩についていき、生涯エンジニアでいてほしい」と期待をかける。それが付加価値向上につながるとみるからだ。中国、韓国の留学生など外国人を毎年数人採用し、幅広い人材を集めている。競争力の源泉である人材に磨きをかけ続ける。
(文=名古屋・戸村智幸)
日刊工業新聞2018年7月23日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
森実社長は02年に28歳で社長に就任した。5代目にして、技術系以外で初の社長だ。社長としてエンジニアの仕事を見てきた経験から、17年に著書『エンジニアになりたい君へ 理工系学生のためのキャリア形成ガイドブック』を発行した。大手メーカー以外にも、エンジニアの道があることを伝えたいという。 (日刊工業新聞名古屋支社・戸村智幸)

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