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ついにミラーレスも首位!キヤノン役員が語る次のカメラ世界

女性人気の「EOS キスM」で躍進
ついにミラーレスも首位!キヤノン役員が語る次のカメラ世界

キヤノンが開発した「EOS キスM」

 キヤノンが発売したミラーレス一眼カメラが好調だ。入門機種としての主力ブランド「EOS キス」に初めてミラーレスを投入。発売以来、女性層を中心に圧倒的な人気を誇る。競合他社に比べ、ミラーレス市場への本格参入に慎重だった王者キヤノンが今後、どのような戦略を展開するのか。戸倉剛執行役員に戦略を聞いた。

 ―ミラーレスカメラ「EOS キスM」を3月に発売しました。現在までの状況は。
 「発売以来、4―5月は国内で20%以上のシェアを占める。先行発売している『EOS M100』と合わせるとシェアは30%を超えてくる。シェア1位を獲得できており、非常に好調だ。顧客層では女性ユーザーが非常に多い。女性顧客と相関性があるかどうかは分からないが、購入層の半分以上がホワイトのデザインを選択していただいている」

 ―製品の特徴は。
 「当社のレンズ交換式カメラは快速、快適、高画質というEOSのコンセプトの下で生産し、『キス』シリーズも基本的なスペックは備えている。ミラーレスが持つ製品の小型化と合わせ、決して妥協しない高画質の撮影ができる点が特徴だ」

 ―「EOS キス」シリーズの投入で、キヤノンがミラーレスカメラに本気を出してきたと言われます。
 「もちろん。ただ、我々はワールドワイドで戦略を練っている。現状、ミラーレスは過渡期であり、世界各地でのミラーレス化比率は地域によってバラバラだ。国内でも一眼レフ『EOSキス X9』が非常に好調であることを考えると、今はミラーレス派と一眼レフ派の棲(す)み分けの状態にあるといえる」

 ―ミラーレス市場全体の見通しをどのようにみますか。
 「デバイスが進化すればより普及すると思う。ただ、日本やアジア圏をみてもミラーレスの普及率が50%を超えてくると、伸び率が鈍化する傾向がみられる。ほかの地域でも今後、同じような調整があるかもしれない。市場の動向は未知数のところがある」

 ―今後のミラーレスの開発の方向性は。
 「当社が掲げるフルラインアップ戦略の中で投入できていないピースがあり、準備する必要がある。イメージセンサーのフルサイズ型はもちろん検討対象に入っている。ニーズの多様性に合わせてフルラインアップを強化するのはメーカーの使命と考えている」

戸倉剛キヤノン執行役員

(2018年7月24日)
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
カメラ映像機器工業会(CIPA)の調査によると、スマートフォンからデジカメによる撮影へ切り替えた層が約4割に上った。スマホの進化はデジカメ市場にとって逆風とされてきたが、一部共存できる面もあるようだ。戸倉執行役員も「スマホと差別化できる機種に価値を見いだしているのでは」と話す。スマホからデジカメへのステップアップ需要をいかに開拓していくのか。ミラーレスを含めた王者キヤノンの戦略に注目が集まる。(杉浦武士)

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