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交通網断絶、マツダの操業停止長期化も

「とてもじゃないが、11日からの通常操業は難しいのではないか」
 今回の豪雨災害では、広島市と、近郊の呉市や東広島市を結ぶ道路や鉄道があちこちで寸断された。工場そのものに被害はなくても、従業員の通勤や原料や製品の入出荷が滞っている状況。交通網の復旧次第では、マツダの工場の操業停止が長引く可能性がある。

 「とてもじゃないが、11日からの通常操業は難しいのではないか」―。広島市東部のサプライヤーの関係者はそう話す。

 マツダの有力サプライヤーが多く拠点を構える東広島市。マツダの工場がある府中町や広島市南区との間を結ぶ交通網は、9日正午時点でほぼ断絶している。

 山陽自動車道は広島インターチェンジ(広島市安佐南区)と福山西インターチェンジ(広島県福山市)の間で通行止めに。国道2号線も広島市安芸区内の瀬野川沿いを走る区間で路肩が崩落。部分的に通行止めや片側交互通行になり、通り抜けるのに2、3時間かかるという。

 JRも山陽本線の海田市駅(広島県海田町)と笠岡駅(岡山県笠岡市)の間や、呉線の全線が運休。呉・東広島の両市から広島市内への従業員の通勤はままならない状況だ。

 東広島市内のある部品メーカーは、本社工場のそばを流れる川が氾濫し、駐車場や製品置き場が1・5メートルくらいの深さまで水に漬かった。幸い生産ラインは無事で、すぐにでもモノを生産し出荷することはできるが、問題は通常使う道路が何本も不通になっており、従業員の通勤の足がないことという。

 広島市安芸区内の別の部品メーカーは、増水を起こした瀬野川のすぐほとりに工場が立つ。敷地の一部に土石流が入るなどしたが、幸い生産に支障が出る被害はなかった。しかし目の前の国道2号線は大渋滞で、やはり従業員の通勤や製品の出荷が難しい状況。
日刊工業新聞2018年7月10日
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
物流が滞れば、いくら工場が無事でも自動車の正常な生産は難しいことが、改めて明らかになった。

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