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アイシン九州の生産停止、日産とマツダに波及する可能性も

部品供給の遅延、車生産を直撃
アイシン九州の生産停止、日産とマツダに波及する可能性も

日産九州18日に操業を再開、当面在庫を使う

 熊本地震が自動車生産のサプライチェーンに及ぼす影響が広がりつつある。アイシン九州(熊本市南区)の生産停止が新たに日産自動車マツダにも波及する恐れが出てきた。日産もマツダもアイシン九州の部品を採用していることが明らかになった。

 両社は現在工場を稼働しているがアイシンの停止が長引けば影響する可能性がある。自動車用マイコンを手がけるルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリングの川尻工場(同)も被害の拡大が確認されている。

 アイシン九州などの停止についてはこれまでトヨタ自動車三菱自動車が工場休止の原因であることを明らかにしている。日産は日産自動車九州(福岡県苅田町)で18日から操業を再開した。

 現状はアイシン九州製部品の在庫を使うか、熊本地震による調達の影響が少ない車種だけを生産することで対応しているとみられる。マツダは22日まで通常操業するが、それ以降の計画はまだ決めていない。

 アイシン九州とアイシン九州キャスティング(熊本市南区)は地震発生から操業を停止しており再開のめどが立っていない。度重なる余震の影響でドアやエンジン部品の生産を停止したままだ。

半導体各社は地道な確認作業続く


 熊本地震の影響で、主要メーカーが工場の稼働を停止している半導体業界。19日も現地では早期の状況把握と稼働再開に向けた、地道な確認作業が続けられている。スマートフォンなどの民生機器や自動車、産業機器などへの出荷量が大きいだけに他工場での代替生産や外部委託の道も模索する可能性があるが、設備の状況確認が最優先。その上で対策を判断する方針だ。

ソニーはソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)の熊本テクノロジーセンター(同)で、主にデジタルカメラや監視カメラのCMOS(相補型金属酸化膜半導体)画像センサーを生産する。

対応は設備の確認が取れ次第決定するが、生産品目は大判センサーが中心で外部委託しにくい製品が多い。代替生産の必要があれば、まずは自社工場での対策を検討することになりそうだ。また一部生産しているスマートフォン向けセンサーは、長崎県や山形県の拠点を中心に対応していく見通しだ。

三菱電機も「現地の状況把握ができないことには、次の一手も決められない」(広報部)としている。まずは現地での確認と再開見通しの判断を最優先する。

 ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリングの川尻工場は、クリーンルーム内を調査中。親会社ルネサスエレクトロニクスは19日、生産再開日程の検討に着手したと明らかにした。21日をめどに公表する。自動車メーカーへの影響は少なくなさそうだ。
日刊工業新聞2016年4月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
アイシンの影響がかなり大きいようだ。BCP対策と言ってもやはり限界がある。

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