レーサー起用も…増える女性取締役の背景に「企業統治指針」

東証が6月に改訂版を施行

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 東京証券取引所は企業価値の向上を狙いとして「企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)」の改訂版を6月、施行した。企業が互いに株を持ち合う政策保有株の縮減を促したほか、経営体制でも取締役の人選に多様性を求めている。これを受け、先月末にピークを迎えた3月期決算企業の株主総会では、女性を初めて社外取締役に登用するケースや社外取締役の割合を増やすなどの動きが出てきた。

 コーポレートガバナンス・コードは政府の「日本再興戦略」をきっかけとして2015年に導入され、今回が3年ぶりの改訂だ。その意義について、日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)は「経営トップの選任・解任、取締役会の多様性、資本コストへの意識、企業年金などアセットオーナーとしての機能発揮」を挙げる。

 改訂のポイントの一つとして、社外取締役の拡充や女性取締役の登用を促した。清田CEOは「多様な取締役を選任することが大事」と強調する。例えば自動車業界では、トヨタ自動車が社外取締役に三井住友銀行の工藤禎子常務執行役員を、日産自動車も社外取締役にレーシングドライバーの井原慶子氏を起用した。いずれも女性の取締役は初めてだ。

 また三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、透明性の向上を狙いに取締役の過半数を社外取締役とした。

 今後、コーポレートガバナンス向上のため取締役の確保や配置をいかにすべきか。日本総合研究所の黒田一賢創発戦略センタースペシャリストは「取締役会全体のバランスを示すツールとしてはスキルマトリックスが有用だ」と指摘する。

 スキルマトリックスは取締役会メンバーのスキルを分類し、必要な素養や経験を取締役会が網羅していることを示すツール。日本総研によるとイビデン、荏原製作所、太陽誘電、MUFG、日本取引所グループ(JPX)で採用されている。

 足元では、大手議決権行使助言機関であるISSが19年2月から取締役の3分の1を社外取締役とすることを求めた。さらに株主総会後の取締役会に占める社外取締役の割合が3分の1未満である場合、取締役の選任議案へ反対を推奨する姿勢を示している。

日刊工業新聞2018年7月3日

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各企業とも行政や機関投資家それぞれの動きに応じた対応が迫られている。 (日刊工業新聞社・浅海宏規)

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