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中小企業の「ものづくり補助金」、申請が大幅に増えたワケ

 中小企業の設備投資を促す「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(ものづくり補助金)」の2018年度1次公募の採択結果が明らかになった。採択数は17年度比で55%増の9518件と大幅に増加した。7月中旬には2次公募を予定しており、採択数はさらに拡大する。設備の納期遅れにより補助金の対象外となる可能性が指摘される中でも、中小企業が積極的に応募していることが分かった。

 ものづくり補助金は中小企業・小規模事業者による新商品やサービスの開発に必要となる設備投資を支援する。経済産業省・中小企業庁の人気施策で、18年度は企業間でデータを活用し生産性を高める案件に上限額を増やす特徴を持たせた。

 18年度1次公募の申請者は前年度比11%増の1万7275件。中小企業の固定資産税を減免する生産性向上特別措置法と連携させ、先端設備導入計画の認定などを取得した企業に補助率を引き上げる措置を採用したことで、関心が集まったという。各地の自治体も、ものづくり補助金の申請を後押しした。

 18年度1次公募の採択倍率は1・8倍で、予算を1000億円に増やした効果により、17年度の2・5倍からハードルも下がっている。採択状況の内訳をみると、企業間データ活用型は266件の申請に対して採択が122件。一般型は1万2089件の申請に対し7289件、小規模型は4920件の申請に対し2107件を採択した。予定する2次公募と合わせ、最終的な採択数は計1万2000件に達する可能性もある。1次公募で不採択になっても申請内容を改善すれば、2次公募に申請できる。
               

日刊工業新聞2018年6月29日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ものづくり補助金は公募要領で定めた事業完了期限までに機械設備が納入されなければ、補助金の対象外となる。工作機械の旺盛な需要などで納期遅れが発生し、対象外となる可能性が出ている。このため企業庁は1次公募の際、中小企業に納期確認を踏まえた事業計画を策定するよう注意喚起していた。 (日刊工業新聞・敷田寛明)

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