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【連載・沖縄でつくる#02】米軍向け燃料タンク、販路広げ全国に

コンボルト・ジャパン(沖縄県うるま市)
【連載・沖縄でつくる#02】米軍向け燃料タンク、販路広げ全国に

環境性と安全性の高い燃料タンクを製造(本社工場塗装工程)

 コンボルト・ジャパンは、鉄筋コンクリートで覆って強度を高めた液体燃料用鋼製タンクのメーカー。製品は厳しい気候や衝撃、温度変化に強い屋外地上タンクとして環境性や安全性が売り。大型製品は重さ38トンを超えるが沖縄から全国に出荷している。

 本社工場は沖縄県中部の経済特区「国際物流拠点産業集積地域」にある。2003年に立地し、同地域のモノづくり企業では古参になった。空き地ばかりだった周囲も「最近は開けてきた」と、島袋進専務は変化を語る。

 当時の親会社による事業参入で立地。米企業のライセンスを得て、同タンクを沖縄の米軍基地向けに製造する新事業だった。沖縄以外に顧客を広げ、官民合わせ約500基を販売してきた。

 沖縄の製造業にとってネックは物流。産業構造上、物資の多くを移輸入に頼るが県外出荷は少ない。貨物量が偏る「片荷」で輸送料は高くなる。同社の場合、原材料の多くは県内調達が可能。他方、北海道まで広がる客先への配送コストは重い。

 近隣の産業港から東京・大阪向け定期便はあるが運航は実証段階。「寄港時間が短いなど、まだ使いづらい」(金城盛伸常務)状況。車で1時間弱の那覇港への横持ち輸送が不可欠になる。

 県の立地企業向け輸送費補助は約2年前に対象外になった。すべて自前でまかなう面では“独り立ち”を始めたところ。島袋専務は「いい人材を沖縄にとどめるためにも、製造業は絶対必要」と自負する。

 コスト吸収には、製品の付加価値を高めた新たな市場分野で対応する。過疎地向け給油施設としての提案や、地理的に近い台湾への展開で、製品同様に強固な収益基盤を築く。
【企業概要】▽企業名=コンボルト・ジャパン▽本社=沖縄県うるま市▽代表者=島袋修社長▽製造品=液体燃料タンク

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日刊工業新聞2018年6月21日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
大容量の製品になると、建築物のような大きさになりますが、沖縄でつくり配送しています。確証はないですが、沖縄から県外出荷している工業製品の中では一番大きくて重いのでは。

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