コスト「半減」は可能?新型ロケット開発が本格化

政府、新型ロケット「H3」の開発進める

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新型基幹ロケット「H3」(JAXA提供)
 政府が2020年の打ち上げを目指す新型ロケット「H3」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は主契約者に三菱重工業を選び、2014年度に開発をスタートさせた。現行ロケットの「H2A」と比べて打ち上げコスト(製造費含む)を半減するという野心的な目標を設定し、設計を始めている。そもそも「H3」とはどんなロケットなのか。そして、H3の登場で何か変わるのか。

基本構成が確定


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月8日、2020年度に打ち上げを目指す新型基幹ロケット「H3」について、機体構成を確定したと発表した。全長は約63メートル、衛星搭載能力は静止遷移軌道への投入能力で6・5トン以上となり、現在主力の「H2A」ロケットの1・3―1・5倍に増強。打ち上げコストは固体ロケットブースターなしの場合でH2Aの半額の50億円程度とし、衛星打ち上げ輸送ビジネスで国際競争力を高める。
 JAXAによると、搭載する衛星の大きさに応じて、新型1段エンジンを2機あるいは3機に切り替えられる。固体ロケットブースターはH2Aの改良で、0本、2本、4本と可変。2段エンジンもH2Aを改良し、1機搭載する。
 例えば、固体ロケットブースターなしの場合、太陽同期軌道への打ち上げ能力は4トン以上としている。


「ロケットの貨物」も後継機開発へ


 国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給船「こうのとり」の後継機について、2021年度に技術実証機を打ち上げることが明らかになった。文部科学省は、製造コストを現行の半分の100億円程度とする計画。予定通り打ち上げられる場合、21年度の試験機打ち上げを目指して開発中の新型基幹ロケット「H3」に搭載し、軌道へ投入する可能性が高い。同省は後継機の経費として16年度予算の概算要求に盛り込む考えだ。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙政策委員会傘下の部会でこうのとりの開発計画案を示した。
 こうのとりは、全長約10メートル、直径4・4メートルの円筒型で、大型バス1台分に相当する大きさ。ISSに最大約6トンの物資を輸送できる。後継機は部品点数の削減などよってコスト半減を目指す。今後、予算が確保されれば、こうのとり10号機から改良型となる見通し。


射場の整備も加速


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年度の打ち上げを目指す新型基幹ロケット「H3(仮称)」について、打ち上げ間隔の短縮に向けて種子島宇宙センター(鹿児島県南種子島町)の射場整備工程を見直す。19年度までに整備組み立て棟を改修し、ロケットの打ち上げ間隔を現在の半分の約26日間に短縮する。これにより新型基幹ロケットの打ち上げ機会を増やし、衛星ビジネスの拡大に対応する。
 
 種子島宇宙センターには現在、国産主力の「H2A」ロケットと、ひと回り大型の「H2B」の二つの射場がある。H3はH2Bの射場を改修して打ち上げる。H3はH2Aの後継機で、全長63メートルとH2Aより10メートル長く、国産ロケットとしては史上最大。衛星の搭載能力も同1・3―1・5倍と増強した。整備組み立て棟では、ロケットをまっすぐ立てた状態で組み付けると、作業効率が悪くなるため、ロケットを横に寝かせた状態で組み付け、点検作業を実施することで時間を短縮。打ち上げ間隔を現在の約52日間の半分の約26日間にする。17年度半ばに改修工事に着手、19年度中に調整・試験を終え、整備する。

 また、ロケットを搭載して発射台に移動させる新型運搬車も配置する。現在の運搬車はH2Bまるごとに対応。H3はより大型になり、固体ロケットブースターの違いによっても、まるごと運べる運搬車を新たに配置する。点検の自動化により作業要員を従来の3分の1―4分の1以下の30人程度に削減し、発射管制棟は種子島の南側の岬にある別のエリアに移す。貯蔵供給設備は現在の設備をそのまま利用する。


日刊工業新聞 2015年07月09日、06月25日、04月17日、2014年06月30日付の記事を再編集

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