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フィンテックの雄、マネーフォワードが仮想通貨交換業に乗り出す

早期の単月黒字化を目指す
 マネーフォワードが仮想通貨交換業に乗り出す。ブロックチェーン(分散型台帳)や仮想通貨の普及と実用化に向けて、100%子会社「マネーフォワードフィナンシャル(MFフィナンシャル)」を設立。既に金融庁に仮想通貨交換業の登録を申請済みで年内に登録と交換所の開設を目指している。MFフィナンシャルの神田潤一社長が5日までに、日刊工業新聞のインタビューに応じ、交換所開設後、早期に単月黒字化を目指すとした。

 まず、MFフィナンシャルが今夏にも新しいウェブ媒体を作り、仮想通貨などに関する情報を発信する。同時に金融庁の登録を前提に、年内の仮想通貨交換所の開設を目指し、交換所のシステム開発も推進していく。開設後、取り扱う仮想通貨は当初、「ビットコイン」など3種類を予定し、開設1年後に約300万人の利用を見込んでいる。

 時期は未定だが、今後、ブロックチェーンや仮想通貨を中核に、銀行間・個人間送金、電子マネー、地域通貨などあらゆる送金・決算手段とつなげるプラットフォームの構築を進める。

 グループ内連携も深める。マネーフォワードが提供する家計簿アプリ「マネーフォワード」内で、仮想通貨の残高を自動取得できる交換所の数を、現在の3から早期に20とし一元管理できる体制を整える。

MFフィナンシャル・神田潤一社長インタビュー


 ―グループで実現したいコンセプト「カレンシー2・0」とは。
 「お金のあり方を変えたい。仮想通貨のメリットは場所や時間、ツールを選ばずにさまざまな価値を交換できることにある。そうしたサービスをユーザーに提供していきたいという意識を表現した」

 ―交換所のシステム開発を自前で構築する意味は。
 「M&A(合併・買収)で既存のシステムを使用することや他の交換所・取引所のシステムを購入することも選択肢としてないわけではない。だが、セキュリティーを我々の基準で妥協せずに作り込むためには自前が一番と考えた。交換所開設後の送金・決済などにつながる技術的な蓄積にもなる」

 ―グループへの収益貢献は。
 「今後、セキュリティーコストや管理体制の整備を行う必要がある。(コインチェックによる巨額流出事件で)従来までの収益環境から変わるため、一概には言えないが、19年11月期中に単月での赤字解消を図り、(開設後)早期に単月黒字を目指したい」
MFフィナンシャル社長・神田潤一氏
日刊工業新聞2018年6月6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
マネーフォワードは損益決算ツールとの連携や確定申告ソフトの利用で、仮想通貨取引の損益計算・確定申告の円滑化も支援していく。 (日刊工業新聞社・山谷逸平)

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