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〝手で持たないドローン日傘”商用化へ

アサヒパワーサービスが試作機を開発
〝手で持たないドローン日傘”商用化へ

開発した試作機

 アサヒパワーサービス(栃木県小山市、鈴木健治社長)は、手で持たない日傘「free Parasol(フリーパラソル)」の試作機を開発した。飛行ロボット(ドローン)にシートを装着した“ドローン傘”で日差しを遮る。価格は3万円程度を予定し、2019年中にも商用化する。将来は雨傘として使えるよう、モーター部に防水加工などを施す方針だ。

 完成した試作機は、特定のマークを追尾する自動操縦仕様。傘となる小型ドローンで撮影した映像を、人工知能(AI)を使った自社のソフトウエアで解析してマークを識別する。鈴木社長は「プログラムを改良し、人の頭部を識別できるまでレベルアップしたい」としている。

 製品化を目指すドローンの直径は約150センチメートル、毎時5000ミリアンぺアのバッテリーを1基搭載する。重さは約5キログラム、飛行時間は20分程度。今後は部品を軽量化し重さを1キログラム、飛行時間1時間を目指す。事故防止のため、プロペラは網で覆う。

 ドローンはプロペラから機体下部に向かい下降気流(ダウンウォッシュ)が発生する。鈴木社長はこの特性を「扇風機同様に、熱中症対策で効果が見込める」と期待する。

 従来の傘と違い両手が空くため視覚障害者などの利用が期待できる。一方で法律上の課題などから、当面はゴルフ場など市街地以外の“おもてなし”グッズとしての販売を見込む。
日刊工業新聞2018年5月30日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
車の乗り下りや雨天の撮影時など、あったら嬉しい手持ち不要の傘。既存製品の改良、改善を得意としてきた日本のものづくり技術が、ドローンをヒントにイノベーションを起こせるか。楽しみです。 (日刊工業新聞社・成田麻珠)

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