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AIに戸惑う労働者、ポジティブな感情はわずか2割

米アクセンチュアが世界11カ国で調査
 人工知能(AI)時代の雇用と働き方の未来とは―。米アクセンチュアが日本を含む世界11カ国、1万2528人を対象に行った調査によると、全体傾向としては「AIの重要性を理解しつつも不安を覚える中で、人間とAIとの協働に必要な新たなスキル習得が課題と捉えている」ことが分かった。

 世界と日本を比較したところ、問題意識や取り組みに乖離(かいり)があることが明らかになった。これによると、日本人の労働者の25%(世界平均15%)は、自身が仕事にどのような影響をもたらすかのイメージを持てないことが確認された。

 さらにAIに対してポジティブな感情を持つ労働者は22%(同62%)にとどまり、漠然とした不安感を抱いている状況も浮き彫りとなった。

 過去1年間にAIとの協働に向けたスキル習得に取り組んだ人の割合は、世界平均83%に対して、日本は46%。AIと協働するために新たなスキルの習得が重要とするのは、世界平均68%に対して日本は24%といずれも世界と日本では乖離があった。

 28日に都内で会見したアクセンチュアの宇佐美潤マネジング・ディレクターは日本の今後の動向について「少子高齢化社会の到来で労働力の需給バランスが崩れ、2030年には約900万人の労働力が不足する。AIを活用した生産性向上や不足する労働力をAIで穴埋めするなど、人間とAIとの協働は不可欠だ」と言及。企業に求められる対応策として(1)日本型AI協働モデルを前提とした業務手順の再考(2)人間とAIの協働の効果を最大化するコラボレーションの活性化(3)教育機会やコンテンツの提供―の三つを推奨した。

 今回の調査は消費財から金融まで幅広い業種の労働者1万527人、経営者1201人が対象となり、日本人の内訳は各1割程度だった。
日刊工業新聞2018年5月29日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
総務省による平成28年情報通信白書では、米国に比べて日本はAIスキルの習得意欲自体の低さが指摘されていました。一方で、ポジティブな感情を持つ労働者が少ない背景には、自分の仕事がとってかわられるといった不安があるのでしょうか。

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