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マツダ「アテンザ」、次期モデルはFRか

付加価値を高める「ラージ」群の中核車に
マツダ「アテンザ」、次期モデルはFRか

改良したアテンザと小飼社長

 旗艦モデル「アテンザ」を大幅改良して6月21日に発売するマツダ。フロントアッパーパネルを既存車より約7ミリメートル伸ばして立体感のある低重心デザインに変更した。次世代の車両構造技術を一部採用して操縦安定性を高めた。消費税込みの価格は282万9600円から。月500台の販売を目指す。

 今回で4回目の改良となったセダンとワゴンのアテンザは、内装でも上質感を演出して、上位機種では東レと共同開発した滑らかな質感が特徴の新素材「ウルトラスエード・ヌー」を世界初採用した。またフロントシートの快適性を高めるため、シートと体の接触部の熱や湿度を取り除き、空調温度とも同期する機能をマツダ車として初採用した。

 エンジンはガソリンとディーゼル合わせて3タイプ。ガソリンエンジンは気筒休止技術を採用した「スカイアクティブG2・5」を用意した。クリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブD2・2」は急速多段燃焼技術などを採用し、最大出力を175馬力から190馬力に高めた。

 セダンはスポーツ多目的車(SUV)の人気に押され世界的に販売が低迷している。だが「(技術開発の)ベースはセダン」(小飼雅道社長)と、セダン系の開発で妥協しない姿勢を示した。

 一方、マツダは4月下旬、中長期の経営方針「今後の取り組み方向性」を公表。24年3月期に、年間世界販売台数200万台の目標を示した。

 注目すべきは、200万台に向けて車種群を二つに分けてきたことだ。「アクセラ」「CX―3」を中核とする「スモール」と、「アテンザ」「CX―5」を中核とする「ラージ」で、それぞれ年間販売120万台規模と同80万台規模を担う。

 スモールは世界各地の工場で生産し、コスト競争力ある車種群。米工場が作る新型スポーツ多目的車(SUV)も含む。ラージは各種の電動化技術を取り込んで、付加価値を高める車種群。後輪駆動(FR)を採用するもようだ。
日刊工業新聞2018年5月25日
清水信彦
清水信彦 Shimizu Nobuhiko 福山支局 支局長
マツダはスカイアクティブ技術を搭載した現行の商品群に、「一括企画」という手法を採用。全体の車種の構想をあらかじめ定め、設計や構造に共通性をもたせながら特徴的な部分は個別に設計する。この手法により開発を効率化しつつ、商品の多様性を保ってきた。次世代はこれを2系統に分けることになる

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