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イニエスタが楽天グループの一員に、三木谷氏の狙いは

グローバルの企業価値向上へスポーツ分野に巨額投資
 楽天は24日、サッカースペイン代表のアンドレス・イニエスタ選手がJリーグで楽天傘下のヴィッセル神戸に加入すると発表した。楽天は2016年にサッカースペイン1部のバルセロナと4年総額約280億円のパートナー契約を結ぶなど、国際的なブランド価値の向上を目的にスポーツ分野への巨額投資を敢行している。このため、世界的なスーパースターであるイニエスタ選手の獲得には、ヴィッセル神戸の国内外における注目度向上などを通じて海外事業の拡大にもつなげる思惑があると見られる。

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は同日都内で会見し、「イニエスタ選手は世界的にも強い発信力や影響力がある。Jリーグ全体が世界から注目される仕掛けを作っていきたい」と力を込めた。また、イニエスタ選手は「Jリーグがアジア全体に広がるように力を貸したい」と述べた。

 楽天は現在、28カ国・地域で事業を展開している。電子商取引(EC)事業や対話アプリ「バイバー」などで展開国を増やしているが、EC事業に限れば、16年にインドネシアやマレーシア、英国、スペインなどから撤退するなど、ピーク時に比べて展開国は減少している。一部の地域を除きシェアを拡大できていないのが現状だ。

その中で海外事業を再加速するブランドづくりとしてスポーツ分野への投資を拡大している。16年のバルセロナに続き、17年には米プロバスケットボール協会(NBA)の強豪チームであるゴールデンステート・ウォリアーズとも3年約65億円でパートナー契約した。

 実際に楽天はスポーツ分野への投資による企業価値の向上を経験している。04年の東北楽天ゴールデンイーグルスによるプロ野球参入だ。この参入により「楽天」の知名度は上がり、既存事業にもプラス効果を発揮した。例えばECサイト「楽天市場」の出店店舗数の平均伸長率は参入前4年間の21%程度から参入後4年間の25%程度に伸びたという。

 楽天による一連の巨額投資について、三木谷会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟(東京都港区)のある理事は「思い切りのある投資判断が凄い」と舌を巻く。

 一方、バルセロナと巨額の契約を結んだ際には「(三木谷社長は)サッカーが好きだから仕様がない」と苦笑いを浮かべる楽天関係者もいた。バルセロナやウォリアーズとのパートナー契約に続く、イニエスタ選手の獲得は、同選手がJリーグで期待通り活躍するかとともに、楽天の海外事業への影響も注目される。
            

            

ニュースイッチオリジナル
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
ついにイニエスタが来日しました。いちJリーグファンとしてとても楽しみです。スペインメディアの報道によると年俸は約32億5000万円で3年契約。Jリーグでは過去最高の年俸を大幅に更新しますが、楽天としては広告効果などを踏まえると適切、むしろ割安と捉えているのでしょうか。

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