「トヨタvs日産vsホンダ」サプライヤーの稼ぐ力
自動車産業にはいま、「CASE」(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング、E=電動化)と呼ばれる四つ技術革新が同時に到来。これらの開発を支える人工知能(AI)の進化と相まって、クルマは「100年に一度の大変革期」を迎えている。完成車メーカーだけでその変革は乗り切れない。部品メーカーの役割はとても大きく、日本はトヨタ自動車やホンダを中心に系列もまだ残る。将来に向けた技術革新へ足元の「稼ぐ力」はどうなのか。
トヨタ系大手サプライヤー8社の2019年3月期連結業績予想は5社が増収、3社が営業増益を見込む。中国、アジアなどで需要拡大を想定するが、為替の円高や原材料価格の上昇、先行投資の増加などが利益を圧迫する。デンソーは売上高、アイシン精機は売上高や営業利益などで過去最高を更新し、会計基準の変更を加味すると豊田自動織機も売上高で過去最高となる。
各社の想定為替レートは1ドル=105―110円、1ユーロ=130円。豊田通商を除く7社の設備投資合計は1兆1090億円(前期比20・5%増)に増大する。
デンソーの有馬浩二社長は「将来に向けた成長投資を加速させるため、減益となる」と説明。設備投資額は4000億円(前期比15・2%増)、研究開発費は4950億円(同10・6%増)と2ケタの伸びを予想する。設備投資額は初の4000億円台到達で、研究開発費とともに過去最高となる。為替の影響を除けば損益は前期並みだ。
豊田自動織機は北米と欧州でカーエアコン用コンプレッサーや産業車両が伸長し、収益を支える。さらに「アジアで新しいディーゼルエンジンの引きが強い」(大西朗社長)という。ディーゼルエンジンは40万3000台(前期比22・1%増)の販売を計画している。
アイシン精機は引き続き自動変速機(AT)の販売台数が拡大し、1050万台(前期比6・9%増)と、初の1000万台突破を見込む。ATへの投資増のほか、自動運転や電動化などのニーズに対応するため、伊原保守社長は「研究開発費を(現状の売上高比率)5%から7%くらいまで増やす」と強調する。
日産自動車への供給が多い部品メーカー6社の19年3月期連結業績は3社が営業減益を見込む。中国などのアジア地域は順調に成長すると予想するが、海外現地企業との競争激化や完成車メーカーからの原価低減要請の拡大のほか、円高による為替効果の縮小を織り込む。各社は労務費管理による間接経費の圧縮や自動化ラインの構築などにより、利益を生み出す体質改善を急ぐ。
ユニプレスと河西工業、パイオラックスの3社は減収減益を見込む。国内はエンジンで発電した電力を使ってモーターで走る独自駆動技術「eパワー」を搭載した日産の小型車「ノート」やミニバン「セレナ」が堅調に推移しており好材料がある。一方、北米地域は「想定以上に単価が低い。競争環境が厳しくなっている」(河西工業の堀浩治社長)としている。
営業増益を想定するのはヨロズ、ファルテック、アルファの3社。ヨロズは米テネシー州の工場で労働負荷に起因した離職者の増加などで損益が悪化していたが、改善が進み「通期ではブレークイーブンになる」(佐草彰取締役副社長執行役員)とし、米州での間接経費の縮小が利益面で貢献するとみる。
各社は収益性向上へ、生産設備の効率化に取り組む。増収増益を見込むアルファは、中国でドアハンドル部品の一貫生産ラインを今期中に構築する。河西工業も国内でドアトリム部品の組み立て工程を自動化した。
ホンダとの取引が多い部品メーカー11社の19年3月期連結決算は、8社が営業増益となる見通しだ。円高による為替影響がマイナス要因と想定するものの、中国などで受注が好調に推移すると見込む。中国でホンダのスポーツ多目的車(SUV)「CR―V」が販売停止を余儀なくされている状況も影響は少ないとみる。
19年3月期の営業利益で2ケタ%増の予想はジーテクト、ユタカ技研、日信工業。ジーテクトの高尾直宏社長は、主に中国で車体部品の増収が寄与して「積極的な販売戦略が結果として表れた」とする。ユタカ技研は自動化設備の投入などで生産性を高めて、受注は堅調な状態が続くとみる。
一方、テイ・エステックは会計基準の変更や為替影響で減収と予想。前期に計上した中国の工場移転での補償金がなくなるなど営業減益を見込む。ケーヒンは為替影響や電動化対応の研究開発と生産設備の強化などで営業減益を見通す。
中国のCR―V販売停止については「一過性と聞いている。取り返せるだろう」(山口次郎八千代工業社長)との声も聞かれた。
「成長投資を加速させるため減益」(デンソー社長)
トヨタ系大手サプライヤー8社の2019年3月期連結業績予想は5社が増収、3社が営業増益を見込む。中国、アジアなどで需要拡大を想定するが、為替の円高や原材料価格の上昇、先行投資の増加などが利益を圧迫する。デンソーは売上高、アイシン精機は売上高や営業利益などで過去最高を更新し、会計基準の変更を加味すると豊田自動織機も売上高で過去最高となる。
各社の想定為替レートは1ドル=105―110円、1ユーロ=130円。豊田通商を除く7社の設備投資合計は1兆1090億円(前期比20・5%増)に増大する。
デンソーの有馬浩二社長は「将来に向けた成長投資を加速させるため、減益となる」と説明。設備投資額は4000億円(前期比15・2%増)、研究開発費は4950億円(同10・6%増)と2ケタの伸びを予想する。設備投資額は初の4000億円台到達で、研究開発費とともに過去最高となる。為替の影響を除けば損益は前期並みだ。
豊田自動織機は北米と欧州でカーエアコン用コンプレッサーや産業車両が伸長し、収益を支える。さらに「アジアで新しいディーゼルエンジンの引きが強い」(大西朗社長)という。ディーゼルエンジンは40万3000台(前期比22・1%増)の販売を計画している。
アイシン精機は引き続き自動変速機(AT)の販売台数が拡大し、1050万台(前期比6・9%増)と、初の1000万台突破を見込む。ATへの投資増のほか、自動運転や電動化などのニーズに対応するため、伊原保守社長は「研究開発費を(現状の売上高比率)5%から7%くらいまで増やす」と強調する。
「想定以上に単価が低い」(河西工業社長)
日産自動車への供給が多い部品メーカー6社の19年3月期連結業績は3社が営業減益を見込む。中国などのアジア地域は順調に成長すると予想するが、海外現地企業との競争激化や完成車メーカーからの原価低減要請の拡大のほか、円高による為替効果の縮小を織り込む。各社は労務費管理による間接経費の圧縮や自動化ラインの構築などにより、利益を生み出す体質改善を急ぐ。
ユニプレスと河西工業、パイオラックスの3社は減収減益を見込む。国内はエンジンで発電した電力を使ってモーターで走る独自駆動技術「eパワー」を搭載した日産の小型車「ノート」やミニバン「セレナ」が堅調に推移しており好材料がある。一方、北米地域は「想定以上に単価が低い。競争環境が厳しくなっている」(河西工業の堀浩治社長)としている。
営業増益を想定するのはヨロズ、ファルテック、アルファの3社。ヨロズは米テネシー州の工場で労働負荷に起因した離職者の増加などで損益が悪化していたが、改善が進み「通期ではブレークイーブンになる」(佐草彰取締役副社長執行役員)とし、米州での間接経費の縮小が利益面で貢献するとみる。
各社は収益性向上へ、生産設備の効率化に取り組む。増収増益を見込むアルファは、中国でドアハンドル部品の一貫生産ラインを今期中に構築する。河西工業も国内でドアトリム部品の組み立て工程を自動化した。
CR―V販売停止「一過性。取り返せるだろう」(八千代工業社長)
ホンダとの取引が多い部品メーカー11社の19年3月期連結決算は、8社が営業増益となる見通しだ。円高による為替影響がマイナス要因と想定するものの、中国などで受注が好調に推移すると見込む。中国でホンダのスポーツ多目的車(SUV)「CR―V」が販売停止を余儀なくされている状況も影響は少ないとみる。
19年3月期の営業利益で2ケタ%増の予想はジーテクト、ユタカ技研、日信工業。ジーテクトの高尾直宏社長は、主に中国で車体部品の増収が寄与して「積極的な販売戦略が結果として表れた」とする。ユタカ技研は自動化設備の投入などで生産性を高めて、受注は堅調な状態が続くとみる。
一方、テイ・エステックは会計基準の変更や為替影響で減収と予想。前期に計上した中国の工場移転での補償金がなくなるなど営業減益を見込む。ケーヒンは為替影響や電動化対応の研究開発と生産設備の強化などで営業減益を見通す。
中国のCR―V販売停止については「一過性と聞いている。取り返せるだろう」(山口次郎八千代工業社長)との声も聞かれた。