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トヨタの系列部品メーカー14社、今期の業績はこうなる!

トヨタの系列部品メーカー14社、今期の業績はこうなる!

トヨタが北京モーターショーで初公開した「カローラPHV」

トヨタ自動車の決算発表はゴールデンウイーク明け後の9日に予定されている。その前に系列サプライヤー14社の今期の見通しが出そろった。業績は堅調に推移することになりそうだが、将来への投資がかさむほか、さえない北米市場の動向がリスクとしてある。

 大手サプライヤー8社の2019年3月期連結業績予想は5社が増収、3社が営業増益を見込む。中国、アジアなどで需要拡大を想定するが、為替の円高や原材料価格の上昇、先行投資の増加などが利益を圧迫する。デンソーは売上高、アイシン精機は売上高や営業利益などで過去最高を更新し、会計基準の変更を加味すると豊田自動織機も売上高で過去最高となる。

 各社の想定為替レートは1ドル=105―110円、1ユーロ=130円。豊田通商を除く7社の設備投資合計は1兆1090億円(前期比20・5%増)に増大する。

 デンソーの有馬浩二社長は「将来に向けた成長投資を加速させるため、減益となる」と説明。設備投資額は4000億円(前期比15・2%増)、研究開発費は4950億円(同10・6%増)と2ケタの伸びを予想する。設備投資額は初の4000億円台到達で、研究開発費とともに過去最高となる。為替の影響を除けば損益は前期並みだ。

 豊田自動織機は北米と欧州でカーエアコン用コンプレッサーや産業車両が伸長し、収益を支える。さらに「アジアで新しいディーゼルエンジンの引きが強い」(大西朗社長)という。ディーゼルエンジンは40万3000台(前期比22・1%増)の販売を計画している。

 アイシン精機は引き続き自動変速機(AT)の販売台数が拡大し、1050万台(前期比6・9%増)と、初の1000万台突破を見込む。ATへの投資増のほか、自動運転や電動化などのニーズに対応するため、伊原保守社長は「研究開発費を(現状の売上高比率)5%から7%くらいまで増やす」と強調する。

 中堅部品メーカー6社が26日発表した2019年3月期連結業績予想は5社が増収を見込む一方、営業利益は3社増益、3社減益と明暗が分かれる。中国やアジアで事業拡大する会社が多いが、北米の落ち込みや為替の円高傾向がリスク要因として横たわる。

 為替想定は各社とも1ドル=105円、1ユーロ=130円。前期より対ドルで5円程度円高で、収益を圧迫する。

 東海理化は日本やタイなどで拡販し、売上高で過去最高を予測。ただ北米はメキシコ工場の稼働率が計画に届かず、減益が続く。

 フタバ産業は北米などの落ち込みを日本とアジアの伸びで補う。吉貴寛良社長は北米について「従業員確保のため賃金率を高めており、労務費上昇が収益に影響する」とした。

 愛三工業は売上高、営業利益とも微増を見込む。アジアなどを中心に堅調も、新製品への切り替え投資などで業績全体は横ばい。

 大豊工業は主に中国で現地の車メーカー向けに軸受などの販売を伸ばすも、原価低減要請への対応などから減益を予想。中央発條はトヨタなど顧客の年間生産計画が前期比で減ることなどから減収、営業減益を見込む。ファインシンターは米国工場の増産などで営業・経常利益が過去最高の見通しだ。
               

           
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
トヨタは現在も国内生産300万台を維持するが、サプライチェーンを取り巻く状況は依然として厳しい。円高こそ落ち着いたが、今度は自動運転などの「CASE」(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング、E=電動化)と呼ばれる四つの技術革新が同時に押し寄せ、既存部品にはさらなるコスト低減圧力がかかる。サプライヤーの中には国内生産250万台体制を見据える動きも出始めている。

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