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経営者のメンタルヘルスが危ない!歩くスピードに注意を

従業員の心の健康対策は充実し始めているが…
 メンタルヘルスという言葉はすでに一般的になっている。主に従業員を対象に、心の健康対策と称してストレスチェックや悩みの緩和などを行うことが推奨され、助成金など政策的な支援もたくさんある。しかし、経営者を対象としたサポートはほとんど聞いたことがない。経営者だけはいつも自己責任だ。

 私は仕事柄さまざまな経営者に会う。経営以外の個人的問題や業績不振の場合は当然として、比較的事業が順調でも心を病んでいる経営者はたくさんいる。事業は好調なのに心が不調になる理由は主に二つ。

 一つは「先代から事業を引き継いだが社員をまとめられない」、「社員からの要求が厳しく対立が起きている」など、人の問題。もう一つは「接待営業が多くて睡眠不足」、「仕事を優先しすぎて運動など体のメンテナンスができていない」といった体の問題である。

 経営者である以上、日々のセルフケアが原則。自分自身で気持ちが前向きかどうかのチェックポイントを持ち、その日の調子をチェックする。例えば、朝問題なく起きられるか、歩くスピードはいつも通りか、あいさつができているかなどである。私自身も気分が悪い時や非常に嫌なことがあった時はこういったありふれた行動に変化が出てしまう。

 ストレス状況がわかったら、致命的な不調となる前に、生活リズムを戻す、ストレス発散できる趣味や気分転換をするといったことが有効である。

 また、より根本的には考え方を変えるという方法もある。例えば、「なぜだめなのか」ではなく「どうしたらできるか」という発想を持つことで、過去ではなく将来を考えることにつながり、プラス思考に転換が可能である。よりよい方法が見つかった時は「失敗も良い経験」と楽観的にもなれる。

 日々の業績や行動でもできなかったことで自分を責めるのではなく、できたことや小さな成功例を列挙する方が前向きになれる。この方法は自分の強みを再発見することにもつながるのでぜひお試しいただきたい。

 いろいろやってもだめなら、カウンセラーや医療機関に行くことを薦める。メンタルヘルスに万能薬はないが、倒れてしまう前にさまざまな予防策、改善策を試していただきたいものである。
(文=佐々木陽三朗・中小企業診断士)
日刊工業新聞2018年4月10日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
「過去ではなく将来を考える」とありますが、自分なら「今」を考えますね。不安なのは将来ではなく、「今の気持ち」なのでまずは生活のリズムを一定に保つことかと。

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