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肌と健康・心理状況の相関、AIで解明へ

ポーラ・オルビスHD、新たな価値創造へ
肌と健康・心理状況の相関、AIで解明へ

15年に研究所に設置した「イノベるーむ」。アイデア出しや個人面談、リラックスルーム、自習室としても使える

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)は人工知能(AI)技術を用い、日常生活における肌の状態と健康状態の相関関係の解明など、新たな価値創造を狙う研究開発に着手した。同社は1月に研究体制を刷新。2020年に向けて、研究開発費用を16年比20―30%増やす方針。内閣府と経済産業省が3月に創設した「宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(エス・マッチング)」にも参画しており、従来の枠にとらわれない研究開発を推進する。

 AIを用いた研究では化粧品を肌の手入れにとどめず、/に影響を与える可能性を探る。例えば肌状態を見ることで睡眠不足かどうかを判定するなど、“肌”を活用して新たな価値を生み出すのが狙い。

20年以降に、肌状態から感情や健康状態を把握するようなサービスや、化粧品への応用を目指す。グループ研究・薬事センター担当の末延則子執行役員は「データ解析の中で、通常の計算式では結びつかなくてもAIを使えば未知の可能性が見つかるだろう」と期待する。

 内閣府と経産省によるエス・マッチングでは、宇宙ビジネスを推進する投資プラットフォームである同組織を活用して、化粧品の枠にとらわれない皮膚科学の技術や考え方を発展させる考え。化粧品業界では参加しているのは現時点で同社のみだ。

 同社は研究開発体制の強化、予算の増額に乗り出している。HDにマルチプルインテリジェンスリサーチセンター(MIRC)を新設し、グループ全体の研究統括機能を集約。化粧品の枠を超えた研究・知財戦略を策定し、研究成果をグループに配分する構え。子会社のポーラ化成工業にはフロンティアリサーチセンターを新設し、MIRCの戦略に基づいて基盤研究や化粧品を開発する。
日刊工業新聞2018年4月25日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
例えば、データをたくさん集めれば人間以外の動物の肌の状態から感情や健康状態を推測できるようになるのでしょうか? そうなれば、異種のコミュニケーションがより円滑になりそうです。

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